【9月22日 AFP】今年第2四半期の欧州経済は、新型コロナウイルス危機によって過去最大の低迷に陥った。だが、福祉国家である北欧諸国は、他の大半の国よりも打撃を限定的に抑えて健闘している。

 スウェーデン南部リンショーピング(Linkoping)でパン販売店チェーンを経営する小規模事業主のマルクス・ラーション(Markus Larsson)さんは、国の支援に感謝している。政府の援助がなければ「さらに20人の解雇を余儀なくされただろう」と語る。

 ラーションさんが恩恵を受けたのは、事業所の賃貸料と社会保険料が国の補填(ほてん)によって減額される制度だ。また、従業員の労働時間を削減したが、それによる給与の減額分も政府が補填している。これらの支援策によって、解雇は従業員100人のうち約20人に抑えることができた。

 スウェーデンは新型コロナウイルスの流行に対する緩やかな対策で、世界のメディアの見出しを飾った。パンデミック(世界的な大流行)全体を通じてロックダウン(都市封鎖)は実施せず、学校やレストラン、大半の会社を閉鎖させずにいる。3月半ばの段階で、政府はすかさず最大280億ユーロ(約3兆4000万円)相当の経済援助を発表した。

 地場大手銀行SEBのアナリスト、ロベルト・ベルクイスト(Robert Bergqvist)氏はAFPの取材に対し、周辺諸国のデンマークやフィンランド、ノルウェー、アイスランドと同様、スウェーデンも「パンデミックの経済的影響に対抗するための政策対応は、迅速かつ大規模で適切に策定されている」と述べた。

 デンマーク、フィンランド、ノルウェー、アイスランドでは、学校閉鎖を含めスウェーデンより厳しい外出制限措置を取ったが、店舗や事業所はおおむね開いたままだった。

 他国も同様に、国庫による援助を導入し、労働時間が削減された被雇用者に補償を行い、納税の猶予を認めている。だがその効果は、北欧諸国の方がいっそう大きいようだ。