【9月6日 AFP】中国・上海に住むワン・ロン(Wang Rong)さんが2人目の息子を産んだ時、自分の姓を継がせるという結婚前に交わした約束について夫に念を押した。

「私の父には娘が2人いる。うちの家系を私の代で終わらせたくない」とロンさんはAFPに語った。

 中国に深く根付いた家族の伝統に逆らい、都市部では子どもに母親の姓を付ける人が増えている。

 1979年から2016年に実施された一人っ子政策によって、以前は男子相続人の領域とされてきた親の財産と血筋を守るという任務が、女子相続人にも課されることになった。

 一人っ子政策で既に一部の家族に変化が表れていたが、子どもに母方の姓を付けるという流れに火を付けたのは、2人目の子どもを認めた法改正だった。現在、最初の子どもには父親の名字を、2人目の子どもには母親の名字を付ける親もいる。

 この件に関する統計はほとんど存在しないが、上海の人口統計当局によると2018年に上海で生まれた子どもの10人に1人は母親の姓が付けられていた。父親、母親双方の姓を重ねる複合姓を子どもに付ける親もいる。

 中国のIT大手、騰訊控股(テンセント、Tencent)が2019年に実施した中国人の名前に関する調査によると、国内で複合姓を持つ人は1990年から10倍の110万人以上に上っている。

「2人目の子どもが認められた2016年、チャンスだと思った」と保険代理店に勤めるワンさんは話す。ワンさんは8歳の息子に夫の名字を、2人目の息子に自分の名字を付けた。

 中国では伝統的に、女性は結婚後も姓は変えない。法律では子どもに母親か父親の姓を付けられるとしているが、大半の子どもは父親の姓が付けられる。