【9月5日 AFP】米国で4日、1996年の殺人事件で6回裁判を受け、4回死刑を言い渡された黒人男性への訴追を検察が取り下げた。男性は一貫して無実を主張し続けたが23年間刑務所で過ごし、昨年12月に保釈されていた。

 カーティス・フラワーズ(Curtis Flowers)さんは、1996年にミシシッピ州で4人が殺害された事件で6回裁判を受け、4回死刑を言い渡され、昨年12月に保釈されたが、改めて起訴される可能性があった。しかしミシシッピ州司法長官は4日、フラワーズさんの訴追を取り下げた。

 フラワーズさんは、「私を23年も閉じ込めた不当な仕打ちからようやく自由になった。私が願っていた日がついに訪れた」とする声明を発表した。

 米国の法律では、被告が無罪判決を受けた場合、同じ事件でもう一度裁判にかけられることはないが、フラワーズさんは6回裁判にかけられた。

 最初の3回の裁判ではそれぞれ有罪となり死刑を言い渡されたが、ミシシッピ州最高裁は検事の違法行為を理由に判決を取り消した。次の2回は陪審員の意見が分かれ、評決不能となり裁判がやり直された。

 フラワーズさんは最終的に2010年に有罪とされ、死刑判決を言い渡された。しかし、米最高裁は2019年、担当検事が「黒人の陪審員を排除するため執拗(しつよう)かつ徹底的に働き掛けた」ことを理由にこの判決を覆した。

 当初からこの事件を担当していたダグ・エバンス(Doug Evans)検事は今年1月、事件の担当を外れることに同意。ミシシッピ州のリン・フィッチ(Lynn Fitch)司法長官が一から裁判を見直し、フラワーズさんの訴追取り下げを求め、判事もこれを認めた。(c)AFP