【9月5日 AFP】陸上、ダイヤモンドリーグ(Diamond League 2020)のメモリアル・ヴァンダム(Memorial Van Damme)は4日、ベルギー・ブリュッセルで行われ、モハメド・ファラー(Mohammed Farah、英国)が男子1時間走で、シファン・ハッサン(Sifan Hassan、オランダ)が女子1時間走でそれぞれ世界新記録を樹立した。

 ロンドン五輪リオデジャネイロ五輪で5000メートルと1万メートルの2冠を達成し、3年前にロードレースに転向したファラーは、トラックレースでの復帰戦で、パフォーマンスが鈍っている様子はまるで見せず、2007年にエチオピアのハイレ・ゲブレセラシェ(Haile Gebrselassie)氏がマークした世界記録の2万1285メートルを45メートル上回る、2万1330メートルを記録した。

 これは、1周67秒のペースで52周半、または1キロ2分47秒のペースで走ったのと等しい驚異的な記録となった。

 新型コロナウイルスの感染防止対策で会場のボードゥアン国王スタジアム(King Baudouin Stadium)は無観客だったものの、スピーカーからの音楽や観客の歓声、さらには排水カバーに設置された400個のLEDライトが理想のペースとして点灯するという目に見える記録誘導の補助があった。

 男子1500メートルからマラソンまでの全種目において英国記録を保持しているファラーだが、世界記録をマークするのはこれが初めてとなった。

 一方、女子の同種目では、ドーピング疑惑で名誉が失墜したアルベルト・サラザール(Alberto Salazar)氏が率いるナイキ・オレゴン・プロジェクト(Nike Oregon Project)において、ファラーとは一時期チームメートだったハッサンが、1万8930メートルの世界新記録で優勝した。

 1500メートルと1万メートルの現世界女王であるハッサンは、最後の1分間で圧巻のスパートを見せ、女子マラソンの世界記録保持者で、レース後に失格となったケニアのブリジット・コスゲイ(Brigid Kosgei)を置き去りにした。

 ハッサンは2008年にエチオピアのディレ・ツネ(Dire Tune)がマークした前世界記録の1万8517メートルを、トラック1周分以上となる413メートル更新した。(c)AFP