【9月5日 AFP】世界保健機関(WHO)は4日、2021年半ばまでに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが普及することは期待できないとの見方を示した。

 WHOは、「相当数」のワクチン候補が、通常数万人が参加する最終段階(第3相)の治験に入ったことを歓迎した。その一方でWHOのマーガレット・ハリス(Margaret Harris)報道官は、「現実的なスケジュールを考えると、来年半ばまでのワクチン普及は期待できない」と述べた。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、安全性と効果が立証されていないワクチンをWHOが推奨することはあり得ないと述べた。

 ロシアは既にワクチンを承認しており、英医学誌ランセット(The Lancet)に4日掲載された論文によると、初期治験に参加した患者に「深刻な副作用なく」抗体ができていたという。

 しかし科学者らは、治験に参加した患者がわずか76人と、安全性や効果を立証するには規模が小さすぎるとして慎重な見方をしている。

 米政府は、ワクチン接種の準備を11月1日までに整えるよう各州に求めている。これについて、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権が11月3日の大統領選を前に、ワクチン接種を拙速に始めようとしているのではないかと懸念されている。

 通常の手順では、ワクチン候補が安全で有効だと証明するのに数か月から数年を要するが、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることから、ワクチンの速やかな導入を求める声は強い。(c)AFP/Nina LARSON