【9月4日 AFP】米ニューヨーク州で今年3月、黒人男性が警官から頭にフードをかぶせられて地面に押し付けられた後、意識不明となり死亡していたことが分かった。遺族らが明らかにした。

 ダニエル・プルード(Daniel Prude)さん(41)は、同州北部ロチェスター(Rochester)で3月23日に警察に拘束されて意識を失い、7日後に生命維持装置を外されて死亡した。

 プルードさんの家族と活動家らは、情報公開請求によって警察のボディーカメラの映像を入手し、今月2日にプルードさんの死を公表した。

 プルードさんの兄弟が報道陣に語ったところによると、3月23日、プルードさんに精神上の症状が出たため、兄弟が警察に通報した。

 ボディーカメラの映像によると、警察が到着した際、路上にいたプルードさんは非武装で全裸だった。警官らはプルードさんに地面に伏せるよう命じた。プルードさんは当初は抵抗する様子はなかったが、手錠を掛けられると次第に興奮していった。

 警官らはその後、「スピットフード」と呼ばれるフードをプルードさんにかぶせて頭を地面に押し付けた。しばらくするとプルードさんは意識を失った。

 スピットフードは、容疑者の血液を介した病原体への感染予防のため警察でよく使われている。しかし、安全性への懸念が高まり、近年はスピットフードをめぐる訴訟が複数起きている。

 プルードさんは拘束されてから1週間後の3月30日に生命維持装置を外され、病院で死亡した。

 検視の結果、死因は「身体拘束の際に発生した窒息の合併症」による殺人と判断されたと、地元メディアは報じている。また、プルードさんの血液中からは低濃度のPCP(通称エンジェルダスト)という薬物が検出されたという。

 黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察に拘束された際、手錠を掛けられた状態で死亡した事件をめぐって全米で抗議行動が起きてから3か月がたち、またしても黒人男性が警察によって殺害されたことが発覚し、新たな怒りが巻き起こっている。

 映像は警察のボディーカメラが捉えたプルードさんが警官らに地面に押さえつけられる様子。ニューヨークにある法律事務所が入手したもので、同事務所より3日提供。(c)AFP/Maggy DONALDSON