【9月11日 AFP】デング熱など蚊が媒介する致死性感染症とどのように闘うべきか、研究者らは長年頭を悩ませ続けている。蚊を作ることによって、その解決策がもたらされるということはあり得るのだろうか?

 家畜飼料用の昆虫生産を専門とするフランスの企業イノバフィード(InnovaFeed)は、オーストラリアの研究グループ「ワールド・モスキート・プログラム(WMP)」と提携し、世界初と称する産業レベルの蚊生産技術を開発している。野生の蚊の個体数を抑える目的で細工を施した蚊を、野生の群れの中に送り込もうという計画だ。

 インド洋、太平洋、南米などにある仏海外領では近年、デングウイルスとジカウイルスによる感染症の大規模な流行が起きており、フランスにとって真の問題となっている。

 イノバフィードの共同創立者、オード・グオ(Aude Guo)氏はAFPの取材に「この取り組みの狙いは、数百万の人口を抱える都市部を大きなスケールで救済することだ」と語った。

■雌の蚊に接種「ボルバキア」菌

 デング熱、ジカ熱、チクングニア熱、黄熱などの感染率の上昇は、WMPが過去に行ってきた研究プロジェクトを拡大させるきっかけとなった。

 WMPは10年前、デングなどのウイルスを人間に感染させないようにする細菌を雌の蚊に接種するプロジェクトを考案した。このプロジェクトには、米ソフトウエア大手マイクロソフト(Microsoft)創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏が創設した慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)が一部出資した。

「ボルバキア(Wolbachia)」と呼ばれるこの細菌を持つ蚊は、オーストラリアを皮切りにブラジル、仏海外領ニューカレドニア(New Caledonia)、インドネシアなどで野生に放たれた。

 インドネシアで30万人を対象に行われた影響調査では、細菌を接種した蚊を導入した地域で、デング熱の感染率が77%低下することが実証された。

 イノバフィードとWMPの提携は、この手法を新たに大規模な段階に移行させることを目的としている。