■さまざまなケース

 興味深いのは、通常よりも多くの人にウイルスをうつす「スーパースプレッダー」による集団感染が、民間航空便ではこれまでほとんど発生していないことだ。その理由はおそらく、機内では乗客があまり話をせず、マスクを着用している可能性がより高いからだと、論文の執筆者らは推測している。

 屋内環境でウイルスが拡散する範囲については、窓を開けて換気をしているか、空調設備で再循環しているかといった条件によって大きく変わる。また居住密度も同様に重要な要素となる。

 ジョーンズ氏と研究チームはこれらの要因をすべて考慮に入れ、さまざまな状況におけるリスクを評価するためのチャートを作成した。このチャートは指針としても機能すると考えられる。

 例えば、十分に換気された人の密度の低いオフィス空間で、マスクを着用して小声で話している場合は、リスクは最小となる。

 十分に換気された空間でも、マスクをしていなかったり、オフィス内が混雑していたりすると、結果としてリスクは上昇するが、それでも感染は中程度にとどまる。

 だが、換気の悪い室内でマスクをせずに大声で騒いだり歌ったりすると、そのリスクは危険域に達すると考えられることが、今回の研究で明らかになった。(c)AFP/Marlowe HOOD