■実行犯の変化

 米ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の超国家的脅威対策プロジェクト(Transnational Threats Project)のディレクターであるセス・ジョーンズ(Seth Jones)氏は、近年、米国その他の軍事作戦により、ISの主要な作戦指導者の多数を殺害または拘束したことで、ISの外国作戦ネットワークを「大きく壊滅させた」と語る。

 ISは軍事的敗北と、イラクおよびシリアで「カリフ制国家」を宣言した支配領域の喪失でその地位も低下し、その名の下に攻撃を実行する個人の動機も減退している。

 ジョーンズ氏は、アルカイダが欧州で大規模な攻撃を実行する可能性は、直接的にせよ、イデオロギーに鼓舞された個人を介したものにせよ残ってはいるが、その「確率はあまり高くない」と指摘する。

 一方、仏テロリズム分析センター(CAT)のジャンシャルル・ブリサール(Jean-Charles Brisard)氏はAFPの取材に対し、欧州で最近阻止された攻撃計画を引き合いに出し、ISによる新たな攻撃の可能性は排除しないと述べ、「次のサイクルは刑務所から出てくる者らによるものだろう」と指摘した。

 CATによると、ボスニア、イラク、アフガニスタンにおける過去の紛争での行為で有罪になったフランスの受刑者の60%が、出所後に再び暴力による違法行為を犯すという。

■フランス国外の標的へ

 仏治安筋のある人物によると、西アフリカに駐留している仏軍が、アルカイダ系武装勢力「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(AQIM)」を率いていたアブデルマレク・ドゥルークデル(Abdelmalek Droukdel)指導者を6月に殺害して以来、周辺地域での攻撃の懸念が特に高まっている。

 ニジェールで8月9日に起きたイスラム過激派によるものとみられる襲撃では、フランス人の若者と支援団体職員6人を含む8人が殺害されたが、どの組織からも犯行声明は出ていない。

 CSISのジョーンズ氏は、「AQIMはフランス本土そのものよりも、北アフリカや西アフリカを含めて、駐留仏軍やその他アフリカにあるフランスの標的に対して、報復攻撃を行う可能性の方が高いと思う」と語った。「AQIMはアフリカで活動する方が容易なのだ」 (c)AFP/Didier LAURAS