【9月3日 AFP】奄美大島沖を乗員43人と牛約6000頭をのせて航行中に台風の影響を受け、遭難信号を発信していた貨物船が沈没したとみられると、海上保安庁が救助した乗員1人が証言した。海保は残る42人の捜索活動を続けている。

 沈没したとみられる船は「ガルフ・ライブストック1(Gulf Livestock 1)」で、2日未明、奄美大島の西約185キロ沖を航行中に遭難信号を発信した。

 2日夜になって、海保の捜索隊が1等航海士のフィリピン人男性(45)を救助。男性は、船内で警報が出たため、救命胴衣を着用して海に飛び込んだと話している。

 海保の発表によると、男性は、複数あるエンジンのうち1つが止まっており、そこに波が来て船が転覆し、その後沈没したと証言したという。

 発表では、沈没した時刻や場所などの詳細は明かされなかった。ただ男性は、救助を待つ間、他の乗員の姿は見なかったと話しているとされる。

 同日夜、捜索海域でゴムボートが発見されたが、海保はボートが沈没船のものかどうかは確認できていないとしている。

 海保の船3隻、航空機5機、特殊訓練を受けた潜水士らが捜索活動に当たっている。

 船にはフィリピン人39人、ニュージーランド人2人、オーストラリア人2人が乗っており、豪輸出業者のオーストララジアン・グローバル・エクスポーツ(Australasian Global Exports)との契約で、牛約5800頭を輸送していた。

 ニュージーランドの第一次産業省は事故を受け、生きた牛の輸出を一時的に中止したと発表するとともに、同船の航行に何があったのかを把握したいという考えを示した。

 映像は救助されたフィリピン人男性や、海保による捜索活動。第10管区海上保安本部が3日撮影・提供。(c)AFP