【9月3日 AFP】スペイン・ガリシア(Galicia)州アコルーニャ(A Coruna)の裁判所は2日、独裁者フランシスコ・フランコ(Francisco Franco)総統の遺族に対し、同州にある邸宅は数十年前に同総統が不正に入手したものだとして、国への返還を命じた。

 スペイン政府は昨年、1941年に行われた邸宅「パソ・デ・メイラス(Pazo de Meiras)」の売却は「不正」であるとし、返還を求めていた。一方、フランコ総統の遺族は私有財産であると主張していた。

 1983年から1907年に建てられた歴史的価値があるパソ・デ・メイラスは、フランコ総統が夏の別荘として利用していたもので、現在はひ孫6人が所有している。

 スペイン内戦(1936~1939年)中にフランコ派の団体が取得し、その後内戦に勝利したガリシア出身のフランコ総統に譲渡された。

 裁判所は、1938年の「寄贈」と1941年の「売却」について、邸宅は「フランシス・フランコ個人ではなく国家元首」に譲渡されたものであり、「無効」であると判断した。さらに、フランコ総統は何も支払っておらず、売却は「偽りの行為」にすぎず、「直ちに邸宅を明け渡す」よう命じた。遺族が主張している維持費の補償も認めなかった。また、この邸宅は国の所有物であり、1975年にフランコ総統の死によって所有権が子孫に変更されたことも無効であるとしている。

 遺族は20日以内に上訴できる。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相はフランコ総統について、流血の内戦を経て強権支配を敷いた人物であって、「賛美し続ける」べきではないという見方を示しており、昨年10月にはフランコ総統の遺体が壮麗な国の慰霊施設から掘り起こされ、質素な墓地に移された。(c)AFP