【9月2日 AFP】(更新)ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が意識不明の重体となった問題で、ドイツ政府は2日、検査の結果、同氏が神経剤のノビチョクを摂取したことが判明したと発表した。アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相はロシア政府に説明を要求。欧州諸国は一斉に非難の声を上げた。

 独政府は声明で、ナワリヌイ氏が治療を受けているベルリンのシャリテ大学病院(Charite University Hospital)の協力の下で独軍が実施した検査の結果、「ノビチョク系化学神経剤の明確な証拠」が見つかったと発表。メルケル首相は「アレクセイ・ナワリヌイ氏が犯罪の被害者であることは確かだ。彼を沈黙させることが目的であり、私はドイツ政府を代表し、これを可能な限り最も強い言葉で非難する」と表明した。

 ノビチョクは冷戦時代後期にソ連が開発した軍事用の神経剤で、2018年に英イングランド南部ソールズベリー(Salisbury)で起きたロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏暗殺未遂事件でも使用された。欧米諸国は同事件がロシア政府の命令により実行されたとみている。

 英国のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相は、ロシアに対し「真実を語る」よう要求。欧州委員会(European Commission)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は「卑劣な行為がまたしても起きた」と批判した。

 フランスのジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves le Drian)外相は、ノビチョクの使用を「衝撃的かつ無責任」と非難。北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長も、「衝撃的であり、全面的に非難する」と述べた。

 ナワリヌイ氏が率いる団体「反汚職基金(FBK)」の代表を務めるイワン・ジダーノフ(Ivan Zhdanov)氏はツイッター(Twitter)への投稿で、ロシアの情報機関である連邦保安局(FSB)と軍参謀本部情報総局(GRU)に言及し、「国家(FSB、GRU)のみがノビチョクを使用できる。これには合理的疑いの余地が全くない」と主張した。(c)AFP