【9月3日 People’s Daily】8月のチベット自治区(Tibet Autonomous Region)那曲市(Naqu)嘉黎県(Jiali)麦地卡郷(Maidika)。戸外を歩くには綿入れを着る必要がある。ここの平均標高は5100メートル以上。その最も高いところにある凱熱村牧場は標高5280メートル。

 凱熱村に住むチベット族の男性、ツァンバさんは元気いっぱいだ。村の合作社(共同組合)からの配当金やちょっとした商売、アルバイト、政府の補助金などで、昨年のツァンバさん一家の収入は10万元(約155万円)近くに達した。しかし2015年以前は、一家の1人当たりの年収はわずか2000元(約3万1000円)余りで、貧困家庭だった。

 変化は麦地卡郷が実行した貧困脱却促進政策によって始まった。2015年にバサンツーレンさんが麦地卡郷の共産党委員会書記になったとき、同郷の貧困家庭は380戸、計1900人だった。郷全体で貧困人口の占める割合は37%にもなった。牧畜民の収入はわずかしかなかった。バサンツーレンさんは各村が経済協力組織を立ち上げるよう奨励するとともに、労務訓練班や運転訓練班などをつくり、牧畜民に技能訓練を施した。数年後には各村に牧場合作社が発足した。

 2017年には凱熱牧場合作社が発足。ツァンバさんは保有する18頭のヤクを合作社に提供し、妻も合作社で働くことになった。2年たち、ツァンバさん一家は1万2800元(約19万8000円)の配当金を得たほか、雌の子牛も1頭もらった。ツァンバさんは自分で放牧する必要がなかったので、出稼ぎもした。その結果、この2年間で収入は数倍になった。ツァンバさんと同じように、麦地卡郷の貧困家庭はすべて、貧困から脱却した。

 那曲市色尼区のチベット・ガアルダ生態牧畜産業発展有限公司は牧畜業の有力企業。記者がガアルダ高原有機牧畜産業モデル基地を訪れたとき、付近の6村の牧場合作社の責任者であるガダさんがヤクのミルクを積んだワンボックスカーを運転して入ってきた。

「以前の牧場は整理・統合せず、皆がばらばらに経営していた。生産したミルクの貯蔵、販売が面倒だった」とガダさん。今では、このモデル基地がステンレス缶を提供してくれるし、運搬も便利、販路に悩むこともない。人々の生産意欲はおおいに高まった。

 那曲市の敖劉全(Ao Liuquan)共産党委員会書記は「数年で那曲市の農牧業の合作社は1540社になった。その影響は農牧民7万3500戸、計32万2900人に及んだ」と述べた。昨年の経営総収入は3億6600万元(約57億円)で、延べ1万9100人の農牧民が近場で就業した。(c)People's Daily/AFPBB News