【9月2日 AFP】クメールルージュ(Khmer Rouge)と呼ばれたカンボジアの旧ポル・ポト(Pol Pot)政権下で政治犯収容所長を務め特別法廷で終身刑を受けたカン・ケ・イウ(Kaing Guek Eav、通称ドッチ=Duch)受刑者が2日未明、首都プノンペンの病院で死去した。77歳だった。

 悪名高いトゥールスレン(Tuol Sleng)収容所の元所長、カン・ケ・イウ受刑者は、国連(UN)の支援でポル・ポト政権時代(1975~79年)の戦争犯罪を裁くカンボジア特別法廷(ECCC)で、人道に対する罪で終身刑を受けた。

 ECCCのネス・ピエックトラ(Neth Pheaktra)報道官は、カン・ケ・イウ受刑者は8月31日に入院し9月2日午前0時すぎに死去したと明らかにした。情報筋によると、同受刑者は「肺に深刻な問題」があり、何年も入退院を繰り返していたという。

 1942年生まれで数学教師だった同受刑者は、毛沢東主義のポル・ポト政権時代、プノンペンの学校を転用したトゥールスレン政治犯収容所の所長となり、男性や女性、子どもたちを含む大勢に対する拷問や処刑を監督。「キリング・フィールド(Killing Field)」として知られる近くの処刑場に約1万5000人の収容者が連行され、殺害された。

 同受刑者は、カンボジア特別法廷で初めて判決が確定した元ポト派。2012年の二審(上級審)判決で終身刑が言い渡され、カンダル(Kandal)の刑務所に収容されていた。(c)AFP