【9月2日 AFP】(写真追加)インド軍の特殊部隊に所属するチベット出身の兵士が、ヒマラヤ(Himalaya)地域にある中国との係争地で殺害された。チベット亡命政府が1日、明らかにした。国境係争地では、中印両軍の衝突が相次いでいる。

 国境地帯では過去48時間で衝突が2件発生していたが、死者が報告されたのはこれが初めて。少なくともインド兵20人が死亡した6月の衝突から、わずか2か月余り。両国の緊張は高まっている。

 中国とインドは、互いに相手側が8月29日と31日に領土獲得のため、ラダック(Ladakh)地方にある非公認の国境を越えようとしたと主張している。

 両国共に死傷者の発表はしていないが、チベット亡命議会のナムギョル・ドルカー・ラギャリ(Namghyal Dolkar Lhagyari)氏はAFPに対し、チベット出身の兵士が29日夜、「衝突で犠牲になった」と述べた。

 ラギャリ氏によると、多くのチベット民族が所属しているとされる特殊国境部隊(Special Frontier Force)の別の兵士もこの作戦で負傷したという。チベット民族は、領土をめぐる中国の主張に反発している。

 1962年に国境紛争を繰り広げた中印両国は、6月15日に木製のこん棒や素手による殴り合いの衝突が起きて以降、同地域に多数の兵士を動員してきた。インドはこの衝突で、兵士20人が死亡したと発表。中国は自国側に死傷者が出たことを認めたものの、具体的な死者数については明らかにしていない。

 最近相次ぐ衝突について、両国は互いを非難し合っている。(c)AFP/Aishwarya KUMAR