【9月1日 CGTN Japanese】中国の動画サイト嗶哩嗶哩(ビリビリ、Bilibili)でフォロワー数157万人を誇る日本のVTuber(ブイチューバー)カグラナナさん初のファンミーティング『Summer time Chilinvade(サマータイム チリンベード)』が8月29日、上海市徐匯区(Xuhui)にあるVAPOLLO THEATER(ヴァポロシアター)で行われました。VTuberとはバーチャルユーチューバーの略称で、コンピューターグラフィックスやイラストのキャラクターを外見とする動画配信者を指します。カグラナナさんはイラストレーターでもあり、アイドルとしても活躍している、今中国で最も人気のある日本のVTuberです。

 今回のイベントは東京と上海をつなぐ完全リアルタイムリモートライブで、カグラナナさん本人は東京のスタジオにいながら上海のライブ会場に向けて歌やトークなどパフォーマンスを行い、その様子がそのまま上海会場に映し出されました。イベントの様子はbilibiliと日本のライブ配信サービスSHOWROOM(ショールーム)を通して、中国と日本で同時配信され、東京のカグラナナさんと上海会場、そして両国のファンたちがそれぞれの場所から同時に楽しむ、空間を超えたイベントとなりました。

 カグラナナさんも会場の様子を肌で感じられるため、歌やトーク以外にも複数の観客参加型のココーナーを用意していたのに加え、本人得意の武術を披露したり、イラストを書き上げたりするパフォーマンスに、会場は大盛り上がりでした。生配信の視聴者からはチャットでメッセージが寄せられ、アーティストとファンがお互いにライブを作り上げている場面が多く見られました。カグラナナさんが覚えた中国語を披露すると中国のファンは大喜び。昼の部・夜の部共にほぼ満席の盛況ぶりで、ファンに愛されるカグラナナさんの姿がそこにありました。

 今回は新型コロナウイルスの影響で会場収容人数は普段の半分以下という制限があったものの、昼夜合わせて260人が上海ライブ会場に駆けつけ、その多くは10代から30代までの若い男性ファンでした。そのうちの一人、参加型コーナーでカグラナナさんの兄役を演じたbiliさんは、この日のために重慶から飛行機でやってきたとのこと。「1年ほど前からファンで、これからもずっとファンとして応援していきたい。最高のライブをありがとう!」と話していました。

 今回のイベントを仕掛けたのは、中国初のVTuber専用ホログラムシアターを昨年オープンしたVAPOLLOです。このような催しについて同社CEOの斉藤秀氏は「バーチャルアーティストは今後も急成長の可能性を秘めている。そのライブは世界中にいくつでも『メイン会場』を作ることができる新しい形のもの」と紹介したうえで、「今後は上海だけでなく、中国や日本、東南アジアの他の都市でも展開して、より多くのファンに届けたい。今回のイベントでは会場のファンをバーチャルのステージ上に上げる試みが好評だったので、こうした演出もしていけたら」と展望を語りました。

 なお、斉藤氏はアイドル以外のバーチャルアーティストにも可能性を見いだしており、現在は世界初のバーチャル劇団「劇団ぽぽぽぽんぽ」を準備中です。「日本語と中国語ができるプロの俳優たちによる、バーチャルならではの演出上の挑戦を取り入れたコンテンツに期待してほしい」と自信のほどを示しました。

 最先端技術が可能にした、遠く離れた人々が同じ空間にいるかのように参加できる今回のイベントは、距離を超えて人々が新たな形で出会い、楽しめる新しいエンターテインメントの形を提供してくれます。その立役者であるバーチャルアーティストたちが今後、どのように両国をつないでいくのか、注目が集まります。(c)CGTN Japanese/AFPBB News