【9月1日 Xinhua News】中国青海省(Qinghai)海東市(Haidong)で8月27~29日、第3回青海省チベット族民間伝統囲碁実技大会が開かれた。同省やチベット自治区(Tibet Autonomous Region)、甘粛省(Gansu)、四川省(Sichuan)などから参加したチベット族伝統の囲碁「蔵棋(ザンチー)」の選手60人余りが、玖棋(9路盤)や孜玖(4路盤)、密芒(17路盤)、嘉波果棋(変形5路盤、別名「国王と大臣の碁」)など、さまざまな基盤で対局した。

 蔵棋はチベット族の言葉で「ミマン(密芒)」と呼ばれる。宮廷貴族の遊戯として始まり、その後庶民に広まると新たなルールや各種碁盤が生まれた。専門家によると、これまで確認されている蔵棋の種類は30種類を超える。それぞれのルールの複雑さは一般的な囲碁に劣らないという。

 蘭州大学の宗喀・漾正岡布(ツォンカ・ヤンドロカンブ)教授によると、蔵棋は約3千年の歴史がある。甘粛省敦煌市(Dunhuang)で出土した古代チベット語の文書には、現代に伝わる蔵棋の一部が6世紀末時点で青海チベット高原の広い範囲で普及していたと書かれているという。

 大会の対局の合間には、宗喀・漾正岡布氏も大会に参加した村民らと対局を楽しんだ。村民は地面に白い子ヒツジの革を敷くと、その脇にあぐらをかき、ポケットから小さな木片や川で拾った小石、緑の木の葉、乾燥した羊のふんなどを取り出した。宗喀・漾正岡布氏は「これらは『国王と大臣の碁』の碁石。農作業に忙しい村民たちは、時間を見つけると地面に即席の碁盤を作って蔵棋を楽しんでいた。木の枝で地面に碁盤を描いて対局することもある」と説明した。

 蔵棋はかつて石にも刻まれ、時代を超えて岩画アートとなっている。長い間保護され、伝えられてきた石刻の碁盤は、今でも使われている。(c)Xinhua News/AFPBB News