【9月2日 AFP】スクーターといえば昔から、欧州の狭い石畳の通りやアジアの混雑した大都市でおなじみだが、車社会の米国でも今、スクーターがありふれた光景となりつつある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で、通勤する人たちが公共交通機関を避けているためだ。

 スクーター販売店が大幅な売り上げ増加を報告する中、ニューヨーカーらがここ最近多数利用したのが、ライドシェア大手レベル(Revel)が提供するターコイズブルーのレンタルスクーターだ。

 保険会社に勤めるアラン・タレディア(Alan Taledia)さん(30)は「数か月前、何もかも大混乱していたときに、スクーターに乗ることにした」と語る。タレディアさんは、イタリアの二輪大手ピアジオ(Piaggio)を代表するスクーター「ベスパ(Vespa)」の150ccモデルを購入した。「公共交通機関に乗る必要がなく、自分にはこの方がいい。前より快適だよ」

 自動車に代わる安価な乗り物として、スクーター以外にバイクや電動自転車の売り上げも伸びている。

 米国で最も人口が多い都市ニューヨークでは、車を所有するコストは高く、数珠つなぎの渋滞の中、車に乗ることはリスクでもある。

■レベルの営業休止

 スクーターを米国に広めるのに一役買ったレベルだが、7月28日、ニューヨーク市でのサービス提供を一時休止すると発表した。同市では、米CBSテレビの26歳のリポーターを含む利用者2人の死亡事故が連続して起きていた。

 2人の米国人起業家が創業したレベルは、2018年に同市ブルックリン(Brooklyn)で電動スクーター68台を用いた試験事業を開始。以降、営業休止前には同市で最高時速48キロの電動スクーター3000台を展開するほど成長していた。全スクーターを合わせた1日当たりの走行距離は16万キロに達していたという。

 レベルによるとニューヨーク市が3月後半にロックダウン(都市封鎖)を開始する前2週間の利用件数は、わずか4000件余りだった。ところが6月後半の2週間には、1日当たり1万8000件近くまで増加した。

 一方、経験の浅い利用者が運転していることも多く、無音に近いスクーターは安全上危険だとの指摘も上がっている。

 レベルはレンタル時に提供しているヘルメットの着用拒否など、安全指針を守らなかったとして、6週間で2000人の利用を停止している。同社広報担当者は、ヘルメット着用の確認やスマホ用アプリでの安全運転試験の実施など、安全対策を強化していると述べた。

 同社は首都ワシントン、テキサス州オースティン(Austin)、カリフォルニア州オークランド(Oakland)、フロリダ州マイアミで営業を継続しており、ニューヨーク市でのサービスも8月27日に再開した。

「残念なことだが、みんなのためのサービスを台無しにしようとする人はいつもいる」とコメディアンのエマ・ロジャース(Emma Rogers)さんは述べた。「電動だから環境にもいい。自転車や車より危険だということはないだろう」

 映像前半はニューヨーク市内のスクーター販売店。後半はレベルのレンタルスクーターと事故現場。7月30日撮影。 (c)AFP/Thomas Urbain and Peter Hutchison