【8月31日 People’s Daily】ロボットのコックが調理した料理を味わう無人レストラン。濃厚なコーヒーの香りが立ちこめる無人喫茶店。さらに無人コンビニや無人配送、無人工場…。中国では近年、新技術を駆使した「無人経済」が急速に発展している。中国の無人小売り関連企業は1万6000社に上り、産業ロボット関連企業は5万6000社を超え、年間30%以上の割合で増えている。

 無人経済は工業・農業分野で効率化とコスト削減を実現している。広州市(Guangzhou)にある家電メーカー・美的集団のスマート工場では、200台以上のロボットがアームを打ち振るい忙しく稼働し、スチームの生産ラインは従業員11人から2人に削減した。エアコンは発注を受けてから出荷まで20日間必要とした期間を9日間に短縮した。青島市(Qingdao)の港では、無人の自動運転車がひっきりなしに往来してコンテナを運び、ロボットが荷物の梱包(こんぽう)や荷ほどきにあたる。人工知能(AI)、5Gなどの新技術が産業ロボットや自動運転を実現させ、生産ラインのスマート化を可能にした。農業では無人トラクタ-、スマート収穫機、スマート除草機、搾乳ロボットといった農作業の無人化を実現し、農業生産に大きな効果をもたらしている。

 無人運転、無人配送、無人小売りなどの「非接触式」サービスも都市部では定着してきた。5月末段階で、中国の無人機械関連企業は5万5000社を超えた。北京市では、インターネットで注文を受けた食事の配達をする無人車両が登場している。ギョーザのチェーン店「小恒水餃」の車両で、一度に40人分のギョーザや飲み物と総菜のセットを運べる。原則30分以内に配達しており従来の配達方法より効率が良く、人との接触リスクも減らしている。新型コロナウイルス感染症が拡大していた時期、eコマース大手の京東(JD.com)は河北省(Hebei)北白淀付近にドローン路線を開通し、専用のドローンを使って周辺の集落に必要な物資を送り届けた。

「無人経済」の発展は、一部の旧態依然とした職場を淘汰(とうた)すると同時に、新しい職場を創造し、仕事の質と量を高めている。

「工場がスマート化されたら自分たちは失業するだろうと、多くの同僚が思っていましたよ」。上海市の企業「威派格スマート水務」の工場で働く張建国(Zhang Jianguo)さんはそう振り返る。数年前に工場がスマート化された際、張さんは同僚たちと一緒に産業ロボットを管理する研究を受け、現場の責任者に昇格した。「ロボットが常に最良の状態で稼働するよう管理するのが私たちの仕事。職を失うどころか、キャリアアップにつながりました」と張さんは笑みを浮かべる。

 工業情報化省によると、中国では年間15万台の産業ロボットが生産され、世界の40%前後を占める規模に発展。中国電子学会のデータでは、中国は世界最大の産業ロボット市場となり、20%前後の平均成長率を維持している。産業ロボットの導入密度は製造業労働者1万人当たり97台で、先進国の水準に急速な勢いで接近している。最近、人力資源・社会保障省は13種類の「新しい職業」を発表。AIエンジニア、農業マネジャーなどと共に「産業ロボットシステム運営管理者」も登場した。「無人経済」を発展させるため、さらなる人材育成の必要性を明確にした。(c)People's Daily/AFPBB News