【8月31日 Xinhua News】中国遼寧省(Liaoning)葫蘆島市(Huludao)郊外の農村に暮らす女性(23)は12歳で顎(がく)変形症を発症し、顔が大きくゆがんでしまった。言葉もはっきり話せなくなり、学校では常にいじめの対象。絶望しかけていた女性を救ったのは、地元の有名な慈善家だった。外科手術で生まれ変わった女性は今、笑顔輝く毎日を送っている。

 先月30日、写真を撮り直して新しい身分証明カードを手に入れた女性は、感慨深げにこう語った。「まるで違う人間になったみたい」。病気になってから10年余り、笑顔を見せることも他人と目を合わせることも避けてきた。つらい日々の中、16歳で母親をがんで亡くし、3年後には父親が交通事故で他界。度重なる試練に生きる希望をなくしかけたが、同居する祖父母のことを考え、何とか踏みとどまった。

 高校までは陰口をたたかれる毎日。それでも幼い頃からの教師になる夢をあきらめず、猛勉強の末に教員養成大学に進学した。大学では周囲に恵まれた。夢を応援してくれる教師や同級生に囲まれ「病気に負けず夢を追い続けよう」と決意を新たにした。だが、昨年夏の教員免許試験では、自らのコンプレックスが邪魔をして生徒役の面接官の顔を見ることさえできず、不合格となった。

 夏休みを利用して地元の農村に帰ると、宿題もせずに遊び回る子どもたちの姿が目に入った。両親とも出稼ぎに出ている「留守児童」たちだった。女性は自宅を開放して子どもたちに無償で勉強を教え始めた。生まれて初めて「先生」となった女性は、教えることに心血を注いだ。

 慈善家と初めて会ったのは昨年秋。外科手術が受けられる病院を探し、費用も全額負担してくれた。美しく生まれ変わった女性に北京や上海の企業から、動画配信を通じて商品を販売するライブコマースへの出演依頼が多数舞い込んだ。だが、女性はインフルエンサーとして有名人になることを拒んだ。「多くの人に助けてもらった。今度は自分が恩返しをする番」。これからも地元で子どもたちに勉強を教えながら、教師になる夢をかなえたいと力強く語った。(c)Xinhua News/AFPBB News