【8月30日 AFP】インド洋の島国モーリシャス沖で日本の貨物船から大量の重油が流出した事故を受け、首都ポートルイスでは29日、政府の対応をめぐり大勢の人が抗議デモを行った。

 貨物船「わかしお(MV Wakashio)」は先月、モーリシャス南東沖のサンゴ礁に乗り上げ、1000トン以上の重油がマングローブ林があり絶滅危惧種が生息する海に流出した。

 船体が真っ二つに分断された後、大きい方の船首部分は沖合にえい航され海底に沈められたが、小さな方の船体はサンゴ礁に乗り上げたままとなっている。

 抗議デモは、プラビン・ジャグナット(Pravind Jugnauth)首相に対し大胆に反対表明をしたことで多くの人からの称賛の的となった、一般市民のジーン・ブリュノー・ロレット(Jean Bruneau Laurette)さんの呼び掛けで行われた。

 海洋安全専門家のロレットさんは、政府が重油流出の状況について事実を隠蔽(いんぺい)していると指摘。環境・廃棄物処理・気候変動省を相手取り訴訟を起こした。

 AFP記者によると、ポートルイス中心部にあるセントルイス大聖堂(Saint-Louis Cathedral)前の広場には、最大7万5000人が集結。過去40年で最大規模のデモとなった。

 同国の事故現場付近で少なくとも34頭のカズハゴンドウが重症や死んだ状態で発見されたことを受け、国民の怒りは高まっている。

 日本と英国から派遣された当局者や専門家は、モーリシャスの生態系被害に関する正確な規模について今も調査を行っている。同国の経済は、観光業に大きく依存している。(c)AFP