【8月29日 AFP】テニス、ウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)は28日、女子シングルス準決勝が行われ、大会第4シードの大坂なおみ(Naomi Osaka)は6-2、7-6(7-5)で第14シードのエリーゼ・メルテンス(Elise Mertens、ベルギー)を下し、決勝進出を果たした。

 21本あったブレークピンチのうち18本をしのぎ、2度の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament)優勝を誇るビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka、ベラルーシ)との決勝へ駒を進めた大坂は、「この試合へ向けた準備は少し大変だったけれど、しっかりと締めることができてうれしい」と話した。

 日本とハイチにルーツを持つ四大大会(グランドスラム)通算2勝の大坂は26日、米ウィスコンシン州ケノーシャ(Kenosha)でアフリカ系米国人のジェイコブ・ブレーク(Jacob Blake)さん(29)が警察に発砲されたことに抗議し、準決勝ではプレーしないと表明していた。

 大坂はこの日の試合後、「正直そこまで大ごとになるとは思っていなかった」と明かし、「テニス界でも誰かが始められたらいいなと、ずっと思っていた。自分はどちらかというと後追い。待って待って、やっと自分が最初の一歩を踏み出さなくてはいけない人間だったと気づいた」と語った。

「テニスのバブルの中で認知を高めたかった。自分の仕事ができたかなと思う」

 大坂の決断を受け、女子テニス協会(WTA)と男子プロテニス協会(ATP)はすべての準決勝の試合を28日に延期。それによって大坂も思い直して出場することにしたが、本人は延期の影響を受けた他の選手たちを怒らせてしまうのではないか不安だったという。

「スケジュールがめちゃくちゃになってしまったことで、1日休止を自分のせいにしてほしくはなかった」「怖かったけど、みんなとても優しかった」と話した大坂は、今回の動きから「自信と自分の声が持ち得る影響力にもっと気づけた」ことが個人的な収穫になったと付け加えた。

 対戦したメルテンスも大坂を支持し、試合に関する状況がはっきりしなかったことも平気だったと明かした。「彼女の理由は100パーセント理解している。だから彼女のことも100パーセント支持している」

 決勝で大坂と対戦するアザレンカは、第8シードのジョアンナ・コンタ(Johanna Konta、英国)を4-6、6-4、6-1で下して決勝に勝ち上がった。

 全米オープン(US Open Tennis Championships 2020)の前哨戦に当たるウェスタン&サザンオープンは例年、米シンシナティ(Cincinnati)で開催されているが、今年は新型コロナウイルスの大流行を受け、全米と同じニューヨークにある隔離されたバブル環境内に場所を移して行われている。(c)AFP