【9月21日 AFP】ツール・ド・フランス(2020 Tour de France)は20日、最終第21ステージ(マントラジョリからパリ・シャンゼリゼ通り、122キロメートル)が行われ、UTE(UAE TEAM EMIRATES)のタデイ・ポガチャル(Tadej Pogacar、スロベニア)が初出場で優勝を果たした。

 21歳のポガチャルは、1904年大会の後では最年少のチャンピオンとなった。象徴的なシャンゼリゼ(Champs-Elysees)通りの周回コースを8周する最終ステージはドゥクーニンク・クイックステップ(Deceuninck Quick Step)のサム・ベネット(Sam Bennett、アイルランド)が制し、ポイント賞を獲得した。

 凱旋(がいせん)門(Arc de Triomphe)の背後に夕日が沈む中、山岳賞のマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(水玉ジャージー)、新人賞のマイヨ・ブラン(ホワイトジャージー)、そして最後に栄光のマイヨ・ジョーヌ(イエロージャージー)をまとって表彰台に上がったポガチャルは、「感謝の言葉が見つからない。常にファンからの応援を受け、最高の3週間だった」と語った。

 長く首位としてレースを引っ張ったチーム・ユンボ・ビスマ(Team Jumbo Visma)の同胞プリモシュ・ログリッチ(Primoz Roglic、スロベニア)が総合2位、トレック・セガフレード(Trek Segafredo)のリッチー・ポート(Richie Porte、オーストラリア)が同3位で大会を終えた。

 ポイント賞を通算7度獲得しているボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)を破り、マイヨ・ヴェール(グリーンジャージー)を手にしたベネットは、今大会ステージ2勝目を挙げたレース後、自分のバイクを高々と掲げ、「本当に苦しかったが、すべてそれだけの価値があった。いまだに信じられない」と喜んだ。

 今年のツールは、第20ステージの山岳タイムトライアルで大崩れしたログリッチから総合リードを奪った、ポガチャルの土壇場からの劇的な大逆転が語り継がれることになるだろうが、新型コロナウイルスの暗い影に打ち勝った大会として、それと同じくらい思い出されることになるはずだ。

 パンデミック(世界的な大流行)の影響で開幕が2か月遅れ、厳しい新型ウイルス対策の下でニース(Nice)で大会が始まった際には、パリでのフィニッシュにたどり着けるのか不安視する声もあったが、この日は約3400キロメートルの過酷なレースを走り抜いた146人の選手が、パレード走行を経てスプリントで締めるラストを迎えることができた。

 大会の開催をめぐってはゴーサインが出るのが遅れ、最終日も新型ウイルス対策として5000人のファンしかフィニッシュを見られなかったが、最終的には運営側の勝利となった。(c)AFP/Damian MCCALL