【8月28日 AFP】米インディアナ州で26日夜、国内唯一の先住民出身の死刑囚の刑が執行された。先住民居留地「ナバホ・ネーション(Navajo Nation)」は、死刑判決は同居留地の自治権に対する侮辱だとし、刑の執行に反対していた。

 レズモンド・ミッチェル(Lezmond Mitchell)死刑囚(38)は、インディアナ州テレホート(Terre Haute)の連邦刑務所で、薬物注射による死刑が執行された。ミッチェル死刑囚は2011年に女児(9)とその祖母(63)を殺害し、有罪判決を受けた。

 同死刑囚の弁護団は、連邦裁判所が「先住民族が不当に扱われてきた長い歴史に、新たな一章を加えた」と述べた。

 ほとんどの犯罪は州法によって裁かれるが、連邦裁判所は特定の条件下、例えば先住民居留地など州の管轄外での犯罪を扱っている。

 連邦裁判所が死刑判決を下すことはめったになく、刑が執行されることはさらに珍しい。1988年から今年7月までに連邦刑務所で刑が執行されたのはわずか3人だった。

 だが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領政権は死刑執行を進めるよう要請しており、執行数が増加している。

 ナバホ・ネーションは、1994年の先住民自治について定めた法律を引き合いに出し、殺人事件はアリゾナ州のナバホ居留地で発生し、加害者・被害者共にナバホ出身だったことから、米当局はナバホ・ネーションに死刑の許可を求めるべきだったと主張している。

 ナバホは先住民に死刑を適用することを拒否しており、被害者の遺族はミッチェル死刑囚を終身刑にするよう求めていた。(c)AFP