【8月28日 AFP】インド当局は27日、インド洋(Indian Ocean)の小さな島に暮らす少数先住民10人が、新型コロナウイルス検査で陽性と診断されたと発表した。この島のあるインド直轄領アンダマン・ニコバル諸島(Andaman and Nicobar Islands)には複数の先住民がおり、感染拡大の懸念が高まっている。

 このほど新型コロナ感染が確認されたのは、ストレート島(Strait Island)に住む先住民、大アンダマン人(Great Andamanese)で、現在の民族人口は50人余り。インド政府が食料や住居の支援を提供している。

 AFPの取材に応じた当局者によると、感染が確認された10人のうち6人は既に回復し、自宅隔離中だという。残る4人は、地域の病院で治療を受けている。

 アンダマン・ニコバル諸島全域の人口は約40万人で、新型コロナ感染者2268人、死者37人が報告されている。

 大アンダマン人の一部は政府関係の仕事に就いており、ストレート島と諸島の最大都市ポートブレア(Port Blair)を行き来している。ポートブレアで最近行われた新型コロナ検査で、大アンダマン人6人が陽性と診断されたことから、インド当局は23日に保健当局者をストレート島に派遣。37人を検査し、うち4人の感染を確認した。

 人類学者や孤立先住民の保護活動家らは、19世紀に英国人が到来した当時は5000人を超える大アンダマン人が複数の島に暮らしていたと指摘する。だが、先住民人権団体「サバイバル・インターナショナル(Survival International)」によれば、英国人から土地を守ろうとした戦いで数百人が命を落とし、さらに麻疹(はしか)やインフルエンザ、梅毒の流行で数千人が死亡したとされる。

 また、最近はアンダマン・ニコバル諸島の近海で密漁が相次いでおり、大アンダマン人をはじめ先住民に新型コロナ感染が広がる懸念が指摘されていた。(c)AFP