■「当局に逆らおうとしているのではなく、道徳の問題」

 両親は娘の身を案じており、父親は、娘が大学での勉強で同級生に後れを取るのではないかと懸念している。

「この道(活動)を続けるとしたら、娘の将来が見えない」と父親(匿名希望)はAFPに語った。「私は娘に、抗議活動で政府と党に絶対に逆らうなと警告した」

 オーさんは、当局に逆らおうとしているのではなく、むしろ「道徳規範の問題」と見なしていると主張する。

 オーさんはソーシャルメディア上に数千人のフォロワーがいるものの、中国では支持があまり広がらないために苦労している。昨年の夏は、わずかな資金で一人旅をして、国内で環境保護に取り組む非政府組織(NGO)や活動家らと会った。

 しかし、多くの人が気候危機についてほとんど理解していなかったとオーさんは話した。このときの一人旅は人生で最も孤独な期間となったという。

「手だても分からないし、中国のどのような種類の人たちが自分を支持してくれるのかも分からなかった…孤立して支援も打ち切られ、だだっ広い空っぽの場所にいるように感じた」とオーさんは振り返った。

 昨年10月、ドイツのメディアによるインタビュー記事が中国のソーシャルメディアで拡散されると、ネットで数百万人からバッシングを受けた。目立ちたがり屋、口先だけの活動家と多くの人が非難。中国のネットでたびたび嘲笑の的となっているグレタさんと比較する人々もいた。

 オーさんは、一般の中国人は気候危機について無関心か否定的かのどちらかだと考えているが、自身のアイドルであるグレタさんのように、若年層が運動を起こすという希望を今も捨てていない。

「果敢に一歩を踏み出すための、あと少しの励ましだけが必要な中国の若者は大勢いる。でも、私の声がそういう人たちに届かないとしたら…私たちは団結できない」とオーさんは言う。

「だから今は、私の声が届くようにできる限りのことをやっている」 (c)AFP/Laurie CHEN