【11月3日 AFP】8月の米民主党党大会で、同党の大統領候補に正式に指名されたジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領。プライベートでは悲劇の傷痕を抱え、前回米大統領選では出馬に失敗、演説では言葉に詰まることもある77歳の同氏だが、対極に位置する政敵ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に嫌気が差した国民の心をバイデン氏がつかむとすれば、米政界での比類なき経験と一体となった、まさにこうした弱さだ。

 トランプ氏がホワイトハウス(White House)に横柄さと大言壮語を持ち込んだとすれば、バイデン氏がもたらすのは安心感だ。

 白髪に仕立ての良いスーツ、あらゆる点でベテラン上院議員の風格を持つバイデン氏の売りは、神経衰弱の瀬戸際にある米国民を落ち着かせる父親や祖父のような姿だ。

 トランプ氏に「スリーピー・ジョー(寝ぼけたジョー)」と呼ばれてもバイデン氏は、嵐のような共和党統治の後で国民が少しばかり休息を求めていることを確信しているのだろう。

■長い道のり

 74歳のトランプ氏に対し、バイデン氏は11月の大統領選後間もなく78歳になる。選出されれば史上最年長での大統領就任となる。そして上院議員初当選時は、史上最年少から数えられる若手だった。後に米国初の黒人大統領の下で8年間、副大統領を務めたバイデン氏は、生きた歴史のような人物だ。

 しかし、そうした成功の一方で、屈辱的な落選にも見舞われている。特に1988年と2008年の大統領選に向けた民主党候補指名争いでは、1州も勝利できなかった。

 今回の民主党候補指名争いでも、熱弁を振るうバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員にアイオワ、ニューハンプシャー、ネバダの各州で敗北し、惨敗の運命かと思われた。

 だが、バイデン氏は民主党支持者の最重要基盤であるアフリカ系有権者の圧倒的支持を得て、サウスカロライナ州予備選で返り咲いた。そして自分の選挙は「打ちのめされた人々、疎外された人々、取り残された人々のための運動だ」と宣言した。