【9月8日 AFP】ジル・バイデン(Jill Biden)夫人(69)は、時に自身の功績がかすんでしまうほど私生活で次々と悲劇に見舞われてきたジョー・バイデン(Joe Biden)氏(77)にとって、「タフで誠実な」パートナーだ。選挙運動で夫を精力的に応援してきたジル夫人だが、バイデン氏が民主党の大統領候補に指名されたことで、にわかに注目を集めている。

 2人の歴史は、バイデン氏がどん底にいた40年前にさかのぼる。1972年に妻と娘を自動車事故で失ったバイデン氏は、幼い息子たちを男手一つで育てながら、上院議員としてデラウェア州から首都ワシントンまで毎日通勤していた。そしてジル・ジェイコブス(Jill Jacobs)さんと出会い、1977年に再婚。以来2人は、社会的・政治的権力の中枢にあり続けた。バイデン氏は2回の大統領選を断念した後、副大統領を8年間務め、息子のボー・バイデン(Beau Biden)氏をがんで亡くしている。

 バイデン氏は、悲劇に傷ついていた一家にジル夫人がもたらした影響について、「彼女は、私たち(家族)をもう一度、一つにしてくれた」と語っている。

「彼女は、とんでもなくタフで誠実だ」

 バイデン氏は、民主党全国大会で8月18日夜に公開された動画でスピーチを行い、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に対抗する民主党の大統領候補に正式に指名された。

 この動画では、ジル夫人も自身の政治人生で最も重要となるスピーチをし、夫の人物像、能力、そして思いやりの心について私的な言葉で語り、夫を推薦した。

 さらに、「壊れてしまった家族をどのように回復させればいいのか」という問題について、逆境を乗り越えたバイデン氏の粘り強さに触れ、この資質を備えた同氏は、多くの死者を出している新型コロナウイルスの感染拡大や、大規模なリストラ、人種的な不公平をめぐる緊張に苦しんでいる米国の数百万の家族と理解し合えると自分は考えていると演説。「それは国を回復させるのと同じ方法だ」「愛と理解、共感を示す少しの行動、勇気。そして揺るぎない信念だ」と続けた。