【9月14日 AFP】ビグディス・フィンボガドッティル(Vigdis Finnbogadottir)氏(90)がアイスランドの大統領に就任した1980年8月1日、同氏は世界で初めて女性として民主的に選出された国家元首の歴史をつくった。そして40年たった今も、アイスランド人にとって模範的な存在であり続けている。

 元教師で舞台監督でもあったフィンボガドッティル氏は、3期連続当選を果たし、16年続けて大統領を務めた。ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は来年、その記録と並ぶことになるが、フィンボガドッティル氏は国と政府を代表する女性として選出された記録を保持している。

「彼女はわれわれ全員に道を開いた」とアイスランドのカトリン・ヤコブスドッティル(Katrin Jakobsdottir)現首相はAFPに語った。

「私はビグディス氏が大統領を務めた時代に育った。私の6歳のめいに『男の人も大統領になれるの?』と尋ねられたときに、ビグディス氏の影響力を心から実感した」とヤコブスドッティル氏は付け加えた。

 スリランカのシリマボ・バンダラナイケ(Sirimavo Bandaranaike)氏、インドのインディラ・ガンジー(Indira Gandhi)氏、イスラエルのゴルダ・メイア(Golda Meir)氏、英国のマーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)氏はフィンボガドッティル氏よりも前に権力の座に就いているが、その全員が首相としてだった。

「ビグディス」氏の選出──アイスランド人はたとえ相手が国家元首でもファーストネームで呼ぶ習慣がある──は、同国で起こった女性の権利に関する、ある記念すべき出来事に続くものだった。

 1975年10月、同国の女性の90%が、経済と社会における女性の役割への認識を深めるよう訴えるために労働を停止し、歴史的な「女性のストライキ」を起こした。

 フィンボガドッティル氏が大統領になったときは、女性国会議員の割合は全体のわずか5%にすぎなかった。だが、これ以降、アイスランドは急速に変化を続け、男女格差(ジェンダーギャップ)に関して世界をリードしている。