【8月26日 AFP】動物のミイラ3体の内部を、3次元(3D)画像化技術を用いて調査した研究論文が発表された。ネコ、ヘビ、猛禽(もうきん)類の鳥のミイラを対象としたこの調査は、これらの動物がどのように死を迎えたかに関する前例のない手掛かりを、標本を全く損傷することなく入手することを目的に実施された。

 古代エジプトの人々はしばしば、家畜化された動物を人間と一緒に埋葬室に保管した。それは生者の国と死者の国の間の橋渡しを助けるためだった。

 今日、世界各地の博物館には多数の標本が収蔵されているが、ミイラを傷つけずにその内部の情報を得ることはこれまで困難だった。

 英国を拠点とする科学者らのチームは、英スウォンジー大学(Swansea University)のエジプトセンター(Egypt Centre)に収蔵されている動物のミイラ化した死骸3体の内部を調べるために、最先端の3次元X線画像化技術を使用した。

■口をこじ開けられたコブラ

 1体目の飼い猫のミイラは生後わずか5か月で、脊椎が分離していることから絞め殺されたことが明らかになった。

 2体目の標本は小型の猛禽類で、死因は不確定と判断された。

 だが、研究チームを本当に魅了したのは3番目のミイラだった。外部からは、この卵形の物体はこれといった特徴がなく、何が入っていてもおかしくないように見える。

 研究チームがこのミイラに3Dスキャンを実行すると、中に子どものエジプトコブラが入っていることが分かった。

 さらに驚くべきことには、古代エジプトの埋葬儀礼に従い、コブラが口をこじ開けられた状態で埋葬されたことが確認された。

 20日の英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文の共同執筆者のキャロライン・グレーブス・ブラウン(Carolyn Graves-Brown)氏は「口を開いた状態にすることは、神の像と死者が感覚を取り戻し、それによって生者の国を見通すことを可能にするものだった」と説明する。

 エジプト神話には多数の蛇神が登場し、爬虫(はちゅう)類のヘビは再生に関連付けられていた。その理由は、ヘビが脱皮する能力を持つからである可能性が最も高い。

「さらに、ヘビは土や火、守護や危険などとも関連付けられている」と、グレーブス・ブラウン氏は指摘した。(c)AFP