【8月25日 AFP】イランの首都テヘラン近郊で誤って撃墜されたウクライナのボーイング(Boeing)737-800型機をめぐり、ミサイル2発のうち1発目が爆発した後も操縦士らが生きていたことがブラックボックスの解析により判明した。イラン当局者が23日、明らかにした。

 ウクライナ国際航空(Ukraine International Airlines)の旅客機PS752便は1月8日、テヘランの空港を離陸した直後に墜落した。

 イランはその数日後、イラン革命防衛隊(IRGC)が、ウクライナの首都キエフに向かう同機を誤って撃墜し、乗客乗員176人全員が死亡したことを認めた。

 イランの防空システムは当時、イラクに駐留する米軍部隊をIRGCが数時間前に攻撃したことで、米国による報復措置への厳戒態勢を敷いていた。

 イラン民間航空機関(CAO)のトウラジ・デフガ二・ザンギャネ(Touraj Dehghani Zanganeh)代表は23日、解析のためフランスへ送ったブラックボックスの内容について初めて公表。

 操縦室のボイスレコーダーには操縦士、副操縦士、教官が2度の爆発の間に交わした会話が録音されていたという。

 同氏はイラン国営テレビ局のウェブサイトから情報を引用し、「1発目のミサイルが機体に近接して爆発してから最大19秒間、(彼らは)異常事態に気付き、最後の瞬間まで機体を制御していた」と説明。

「教官は、機体の電気系統に問題が発生し、予備電源が起動したことを示唆している」「操縦士らは、機体のエンジンは両方とも作動していると伝えられていた」と指摘した。

 同氏はまた、ブラックボックスは1発目のミサイルが爆発した19秒後に停止しており、2発目のミサイルの影響についてのデータを回収することは不可能だとし、「2発目のミサイルの影響についての解析はブラックボックスからは得られない」と述べた。

 イランにはブラックボックスを解読する手段がなく、撃墜から6か月近くが経過した7月中旬に解析のためブラックボックスをフランスへ送付していた。(c)AFP