まず道路を! 交通環境改善で貧困脱却 中国
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【8月25日 People’s Daily】豊かになりたいなら、まず道路を造らなければならない。記者は最近、交通環境改善によって貧困地区を支援した関係者5人から話を聞いた。
中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)交通運輸庁の徐文強(Xu Wenqiang)庁長はいくつかの数字を示した。第13次5か年計画(2016~2020年)期間中、チベットの交通運輸部門の固定資産投資は2515億元(約3兆8400億円)を超える。第12次5か年計画(2011~2015年)の期末の時点でチベットの高速道路は全長38キロだったが、現在では620キロ。第13次計画で建設中の工事が完了すれば、1100キロを上回る。
かつて江西省(Jiangxi)贛州市(Ganzhou)安陽県(Anyang)に出向したことのある交通運輸省の幹部、羅洪波(Luo Hongbo)氏は「安陽県の中心部から贛州市まで200キロもないが、以前は往復すると1日かかった。だが近年、安陽県は高速道路で各地に行けるようになった」と語った。交通の発達によって企業が増え、人々が近場で就職できるようになった。物流コストが下がり、電子商取引や観光業も発展したという。
四川省(Sichuan)カンゼ・チベット族自治州(Garze Tibetan Autonomous Prefecture)のセルタル県(Gser thar)は全国189の深度貧困県の1つ。標高は平均4127メートル。山は高く、谷は深い。交通運輸省の幹部、桂志敬(Gui Zhijing)氏は交通環境の改善を進めた。4年間で幹線道路は2260キロとなり、17の郷鎮、134の行政村が舗装道路で結ばれた。近年、セルタル県ではホテルの数が54軒から150軒以上に増えた。
「交通運輸環境の改善を続ければ、人やお金が集まり、産業発展の基礎ができる」と語ったのは、かつて四川省アバ・チベット族チャン族自治州(Aba Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)トチュ県(Khro chu)の熱拉村で第1書記を務めた交通運輸省幹部の呂怡達(Lv Yida)氏。村では交通環境の整備を通じて貧困から脱却することにし、6.9キロの道路をつくり、バスも利用できるようにした。2018年には食品会社も設立、ヤクの肉や蜂蜜も販売するようになった。
湖北省(Hubei)恩施トゥチャ族ミャオ族自治州(Enshi Tujia and Miao Autonomous Prefecture)建始県(Jianshi)の店子坪村で共産党支部の書記だった王光国(Wang Guangguo)氏は「かつては店子坪村の住民は近くの高坪県の市に行って帰ってくるには絶壁の小道を2、3時間歩かなければならなかった」と回顧。しかしここ数年で舗装道路が次々に建設された。王氏は「もともと栽培していたのはジャガイモとトウモロコシ、大豆だけだったが、今では果物も栽培している。トウガラシ工場もつくり、製品は海外にも輸出している。道路ができたことにより、産業が発展し、住民が豊かになった」と述べた。(c)People's Daily/AFPBB News