【8月25日 People’s Daily】「先生、フンコロガシって、どんな形をしているの?」 小学2年生の担任、竜忠武(Long Zhongwu)さんが国語の授業で「私は小さな虫」という文章について説明しているときだった。1人の生徒がこんな質問をしてきた。竜さんは2枚からなる黒板を左右に開き、コンピューターのスクリーンが見えるようにした。そしてフンコロガシが食べ物を運んでいる動画を再生。生徒たちは興味深げに動画を見て、文章の内容を理解した。これは「班班通」というマルチメディアの教育システムだ。

 竜さんが勤務するのは中国・湖南省(Hunan)永州市(Yongzhou)藍山県(Lanshan)新圩鎮(Xinwei)にある新圩学校の分校。藍山県は2011年から毎年、一定の資金をねん出し、小中学校に「班班通」を設置してきた。2016年には竜さんの分校にも65インチという大画面のシステムが設置された。竜さんはとてもうれしかった。

 竜さんは今年52歳。今の分校で30年近く教えてきた。この分校では竜さんともう1人の教師がそれぞれ1学年を担当、全科目を教えなければならなかった。竜さんは困惑した。すべての科目に精通しているわけではなかったからだ。例えば、音楽。竜さんは「私は歌を歌えない。間違ったことを生徒に教えたら、と心配だった」という。

「班班通」が設置されたあと、竜さんは「湖南省基礎教育資源ネット」から無料で良質な教材をダウンロードする方法を習得した。黒板に書く時間を節約できるだけでなく、授業の内容も豊かにできる。抽象的な内容とか、覚えるのが難しいものについては、画像とか、動画を準備する。そうすれば、生徒の学習意欲は増大する。竜さんは音楽の授業に関しても心配する必要がなくなった。生徒たちは大画面を通じて本校の生徒と同じ授業を受けられるようになったからだ。

 今年上半期、新圩学校の小学3年生だった李梓軒(Li Zixuan)さんは家でオンライン授業を受けていた。学校からの指示で母親のスマートフォンで「ネット大教室」の「労働は最も光栄だ」を見ていた。耕作の準備をしなければならない時期になったときだ。母親が何も言わなかったのに、李さんは農地の石を拾い、雑草を抜いた。母親はこれにびっくり。

 李さんの父親は出稼ぎで不在のため、母親は子供の教育に全力を注いでいた。だが、教養に欠けることから、懸命に話をしても、李さんはあまり言うことをきかなかったからだ。

 母親は「どんな授業なのか」と思い、スマホで「労働は光栄だ」を最初から最後まで見てみた。「私よりも道理をきちんと話している」と思った。

「ネット大教室」は湖南省が教育の情報化を模索するなかで始めたサイト。湖南教育テレビでも放送された。(c)People's Daily/AFPBB News