【8月24日 People’s Daily】夏の強い日差しを受け、見渡す限り広がる草原が緑に輝いている。中国内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)フルンボイル市(Hulunbuir)新バルク右旗(「旗」は内モンゴル自治区の行政単位)にあるマンライ集落では、家畜を囲うフェンスが撤去され、牛や羊がゆったりと草をほおばっている。風に揺られる草原は緑の波のようだ。

 マンライ集落はかつて貧困地域だったが、現在は牧畜業の現代化モデルの最先端を突き進んでいる。それは、1980年代生まれの若き共産党支部書記、メジガドアルジ(米吉格道尔吉)さんの活躍と切り離せない。

「以前は牧畜農家が別々に家畜を管理していましたが、収入は低く不安定でした」。彼は集落の人々と繰り返し話し合い、牧畜業の協同組合を設立した。参加を希望した18戸の牧畜農家の家畜や草地を共同管理し、大規模化と集約化、産業化を実現。4年後には18戸の年収は平均で1万元(約15万円)近く増加した。

 この成功は、集落の人々の活力に拍車をかけた。2019年6月には、新バルク右旗で初めてとなる牧畜専業の株式会社を設立。88戸の248人が社員となり、2.6万ヘクタールの草地と5800頭の家畜を管理している。

 メジガドアルジさんは「家畜の成長に偏りがないよう放牧のバランスを考え、草を食べ尽くさないよう科学的に管理しています。家畜と草原の生態バランスを考えてこそ、牧畜業が持続的に発展できます」と話す。

 牧畜農家の一人、アラダンツァさんはかつて苦しい生活を送っていたが、協同組合に参加し、180頭の羊を他の家畜と共同管理した。「昨年の年収は11万元(約167万円)になり、借金を返して貧しさからぬけだせた。暮らしが楽になり、これからもがんばるよ」

 株式会社設立により、牧畜農家の生産コストは下がり、職業選択の幅が広がり、生活の質が向上した。「草原を科学的に活用することの利益は限りが無いですよ」。メジガドアルジさんは感慨深げに話す。

 内モンゴル自治区では草原保護のため放牧制限や植林・植草に力を入れ、対象面積は全国トップに立つ。2019年の植生被覆率は44%に達し、2012年から4ポイントアップしている。(c)People's Daily/AFPBB News