【8月24日 Xinhua News】中国西北部の秦嶺山脈山中に位置する陝西省(Shaanxi)留壩県(Liuba)河口村は2019年、正式に貧困脱却を果たした。同村の貧困脱却には、貧困対策担当者として村に駐在する劉勇(Liu Yong)氏による食用キノコ栽培、養蜂などの産業復興策や観光地整備が大きく貢献した。

 劉氏は、同村だけの魅力的な「土産物」も生み出した。村には漢江の支流の一つ、褒河(ほうが)の急流があるが、劉氏は川底の玉石を見て、石絵を描くアイデアを思いついた。劉氏が余暇を利用して石の上に描く村の豊かな生活風景は、同村の色鮮やかな「名物」になっている。

 2019年に村と県の中心市街地を結ぶ橋が架かると、同村の美しい景色はより多くの人に知られるようになった。観光業は村民の新たな収入源となり、豊かな自然は村の発展を支える財産となった。ただ一方で、劉氏の元には観光客から「記念品となる土産物がない」との意見も寄せられるようになった。

 問題の解決の糸口は偶然目に入った川の玉石だった。美術の素養がある訳ではなかったが、劉氏は川の石をキャンバスに変え、最終的に観光土産にしようと考えた。仕事の合間にインターネットで石絵の自習動画を探し、美術工芸の大家の作品模写を続け、ついに最初の作品「3羽の小鳥」を発表した。

 石絵作品はまだ公には販売せず、知り合いに幾つかの作品を配っただけだが、彼らの反応は思いのほか良かった。劉さんは「勉強を続けて腕を上げ、石絵製作に経済効果をもたらしたい」と語る。

 同村を昨年訪れた観光客は延べ459万8千人。観光収入は22億7千600万元(1元=約15円)に達した。昨年に比べそれぞれ34・0%、37・5%伸びた。

 劉氏は「次は河口村を撮影した優れた写真作品を石絵にする。石絵に興味がある村民に描き方を教え、より多くの人が携わるようにしていきたい。貧困脱却を成し遂げた今、村のさらなる振興を目指していく。河口村の川の玉石に中国の農村生活の美しい新たな風景を描きたい」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News