【8月24日 People’s Daily】赤と青に色分けされた「虹の道路」に沿って、緑の中を走り抜けていく自動車や自転車。64歳の自転車愛好家、党珍(Dang Zhen)さんは仲間とともに山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)の中心街を朝早く出発し、88キロの道のりを走って青竜古鎮に到達した。最近開通したこの太原東山観光自動車道を走った党さんは「起伏に富んだルートで、周りは自然がいっぱい。虹色の道路もすごく気分がいいね」と満足げに話した。

 太原東山観光自動車道は、昨年開通した西山観光自動車道と結ばれている。229キロに及ぶ東西両ルートには9か所の景勝地、10か所の文化財施設、4か所の伝統集落があるほか、100か所以上の景観スポットが整備され、休日を楽しむ市民に安らぎを与え、沿道の村落には富をもたらしている。

 観光自動車道は、自転車の国際イベント「環太原国際ロードレース大会」のコースになっている。赤と青に色分けした道路は、まるで山の間を虹が走っているよう。コースはほどよく曲がりくねったカーブやアップダウンが続き、自転車愛好家たちを引きつけている。コースを設計した陳暁艶(Chen Xiaoyan)さんは「沿道に多くの景観スポットやサービスエリア、駐車場を設け、観光客が気軽に車を止めて休憩しながら、美しい風景を堪能できるよう考えた」と説明する。

 コース沿いの玉泉山森林公園にある景観スポットから眺めると、青い空と白い雲の下、緑の樹木が一面に見渡せ、風に乗って樹木の心地よい香りが届けられる。実は数年前までは、この一帯は荒れ果てた山地だった。

 太原市周辺の山地は長年の鉱石採掘により植物は枯れて黄色い土がむきだしとなり、環境破壊が深刻だった。「観光自動車道の工事ではできるだけ山や林を削らず、環境に負荷を与えないよう配慮した。同時に盛り土や水源の確保などの環境保護にも努めた」と太原市交通運輸局の張智泓(Zhang Zhihong)副局長。東西両ルートの工事を通じて、79ヘクタールにわたり緑化措置を取ったという。

 さらに景観も工夫した。太原市園林局園林緑化サービスセンターの劉庭偉(Liu Tingwei)主任は「道路の両側に5~10メートル間隔でアンズやチンシバイなどの低木、サビナやカンゾウなどの観葉植物を植えて、四季折々の景色を楽しめるようにした」と話す。東西両ルートの沿線には約30か所の森林公園があり、かつての荒れ果てた大地は大きく生まれ変わった。

 朝早く、ルート沿いにある店子底村に住む李来娥(Li lai'e)さんは、自分が栽培したダイズやソバを朝市で販売した。「あっという間に売り切れたよ」。都市部の市民がドライブ旅行で村を訪れるようになった効果だ。

 十数年前、山奥のこの村は舗装道路がなく水源もない貧しい村だった。観光自動車道と結ばれたことで、自然を生かした観光ビジネスが活性化している。

「5月の連休中には、村に車の渋滞が起きた。これまで見たこともなかった」と話すのは、村党支部の石狗拴(Shi Goushuan)書記。「市街地へ行く時間も半分になった。観光自動車道は、村に活気とビジネスチャンスを与えてくれた」。今年に入り村には約5万人の観光客が訪れ、郷土料理のレストランは60万元(約916万円)の収入を得ている。

 東西観光自動車道の開通後、店子底村のように沿道の集落では農業や自然を生かしたビジネスが花盛り。「虹の道路」は沿道の人々に新しい暮らしをもたらしている。(c)People's Daily/AFPBB News