【8月23日 AFP】フランスで暮らすイスラム教徒の10代の少女が、キリスト教徒の若者との交際をめぐって家族から髪をそられる事件があった。仏検察当局は21日、未成年者に対する暴行の罪で、少女の両親と叔父、叔母が裁判にかけられることを明らかにした。

 司法筋によると、事件は17日、同国東部ブザンソン(Besancon)で発生。

 フランスのジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相はツイッター(Twitter)に、「彼女は『キリスト教徒を愛した』という理由で髪をそられ、殴打された。17歳の少女に対するせっかんに深く衝撃を受けている」と投稿。「こうした野蛮さには、最も厳しい処罰が必要だ」と述べた。

 警察当局は、少女の両親と叔父、叔母を拘束。その後、4人を司法監督下に置いて身柄の拘束を解いたが、少女との接触を禁じている。少女は保護下に置かれ、両親らは少女の居場所を把握できないという。

 マルガレ・パリエッティ(Margaret Parietti)次席検事はAFPに対し、4人は「未成年者に対する暴行」の罪で裁判にかけられると話した。

 少女は2年前、両親と共にボスニア・ヘルツェゴビナからフランスに渡り、同じ建物で暮らすセルビア系の20歳の若者と数か月前から交際していた。

 パリエッティ氏によると、「両家は顔見知りで(二人の交際は)問題なかった」ものの、結婚の話が出るようになると、少女の両親は娘に対し「私たちはイスラム教徒だ。お前はキリスト教徒とは結婚できない」と話したという。

 その後、家族は少女から電話を取り上げ、恋人と連絡を取ることをやめさせた。少女と交際相手の若者は4日間家出をしたものの戻ってきて、若者の両親と共に少女の家族のアパートを訪ねた。

 検察によると、最初に手を上げたのは少女の母親で、その後は暴力沙汰へと発展。少女は部屋に連れて行かれて殴打された。少女の証言によると、殴られている間、叔父から髪をそられたという。

 若者の両親は、あえて仲裁に入らなかったが、若者が警察へ向かい事情を説明。

 その後、警察が現場へ駆け付けたところ、叔母によって少女は部屋に隠されていた。だが、地元紙レスト・レピュブリカン(L'Est Republicain)によると、少女は無事発見され、病院に搬送されたという。

 次席検事によると、少女は肋骨(ろっこつ)を折り、「耳の辺り」を中心に「至る所に」あざがあったという。(c)AFP/Murielle KASPRZAK