【8月23日 AFP】デンマーク領グリーンランド(Greenland)を覆う氷床の融解量が2019年、観測史上最多となる5320億トンを記録していたとする研究報告が20日、学術誌「コミュニケーションズ・アース・アンド・エンバイロメント(Communications Earth & Environment)に発表された。海面上昇が速まる恐れを警告している。

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 これは、世界の海に前年より1日当たり300万トン多い水が流れ込んだことになる。あるいは、オリンピック用プール6個分の水が毎秒、海に注ぎ込まれたと言い換えることもできる。

 研究チームによると、氷河の崩壊と厚さ2〜3キロにもなるグリーンランドの氷床から流出する融解水が、2019年の世界の海面上昇の主原因であり、海面を1.5ミリ分押し上げた。これは1年間の上昇分の40%に相当する。

 融解量は、これまで観測史上最多だった2012年を少なくとも15%上回る。しかも、融解量の多い上位5年は直近10年間に集中しているという。

 グリーンランドの氷床が全て融解すると、世界の海面は7メートル上昇する。

 フランス国土の3倍の面積を覆うグリーンランドの氷床は、2000年までは融解量と積雪量が拮抗(きっこう)していた。しかし、この20年間で温暖化が進み、このバランスが崩れてしまった。

 気象パターンもやはり気候変動によって変化しており、雪雲の発生が減って降雪量が少なくなっている。高気圧が張り出すことで、より温暖な晴天の日が増え、氷床の融解が加速する結果となっている。

 映像は2019年8月撮影。(c)AFP/Marlowe HOOD