【8月23日 AFP】中国の国有企業が、新型コロナウイルスの流行により帰国していた同国人作業員らを再びパプアニューギニア(PNG)の鉱山へ派遣する際、うち数十人についてワクチン接種済みと主張したことをめぐり、PNG当局が説明を求める事態となっている。

 パプアニューギニアの主要なニッケル鉱山を操業する中国冶金(やきん)科工集団(MCC)は、今月に中国から再入国する予定の作業員48人が、新型ウイルスのワクチンを接種したために検査で陽性反応を示す可能性があると地元当局に注意を促した。

 これに対してパプアニューギニア当局は、中国政府に「即時の説明」を要求。20日に到着予定だった、中国人作業員で満員のチャーター機の着陸を阻止した。

 新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、太平洋諸国で最も貧しい国の一つである同国では、利益をもたらす複数の鉱山の操業が中断している。

 AFPが入手した、中国語と英語で書かれた文書によると、MMCの子会社ラムニコ(Ramu NiCo)は作業員らを戻す際、パプアニューギニア当局に対して、作業員がウイルス検査で陽性反応を示したとしても「ワクチン接種による通常の反応であって、感染によるものではない」と説明。作業員48人は再入国する前に「新型コロナウイルスのワクチン」の接種を受けたとしている。

 中国当局はこれまで、軍人や国有企業の従業員に対してワクチンの試験を実施する可能性を示唆していたが、海外へ向かう作業員にも実施されたかどうかは明らかになっていない。

 その一方、パプアニューギニアの感染症担当官であるデービッド・マニング(David Manning)氏はAFPに対し、中国政府からの回答を欲しており、20日に首都ポートモレスビーに到着予定だった中国人作業員約150人を乗せた航空機の到着を阻止したと説明。

 同氏は、「こうしたことが起きた経緯について、中国大使からの説明を求めている」「国営企業の従業員48人が、どのようにワクチンを接種したのかを説明するよう、大使を介して中国政府に書簡を送った」と述べた。

 AFPが確認したこの書簡の中で、マニング氏は「迅速な説明」を要求。パプアニューギニアは現時点で新型コロナウイルスのワクチンを認めておらず、国の規制当局や世界保健機関(WHO)が承認するまでは、その意向はないと明言している。

 マニング氏はまた、新型ウイルスの検査や臨床試験、未承認のワクチンによる治療を国内で禁止する政令を出した。

 これに対し、中国の駐パプアニューギニア大使は、「現時点でコメントはない。だが、一つだけ確かなのは、中国はPNGで(新型ウイルスの)検査を行っていないということだ」と話している。(c)AFP