【8月24日 AFP】中国では毎年大規模な洪水が発生しており、政府は国内各地に設置した巨大ダムのネットワークを対応策としてアピールしてきた。しかし今年もまた記録的な大洪水に見舞われ、数百人が死亡した他、家屋数千棟が浸水した。

 今回影響を受けた人は数百万人に上っている。数十万人が避難し、道路は水没、観光地も閉鎖され、巨額の経済損失が出ている。

 なぜ中国は毎年深刻な洪水被害を受けるのか、5つの疑問点をまとめた。

■ダムは機能しているのか?

 中国では以前から、水流を制御したり迂回(うかい)させたりするために、ダムやせき、堤防、貯水池に依存してきた。

 中国応急管理部によると、6月から8月初旬にかけて、アジア最長河川の長江(Yangtze River)のダムや貯水池で約300億立方メートルの水がせき止められ、上海を含む下流域への被害を軽減している。

 だが巨大インフラをもってしても、すべての洪水は食い止められていない。国営中国中央テレビ(CCTV)によると、先月には●河(じょが、Chu River、●はさんずいに除)流域の2つのせきの爆破を余儀なくされ、川からあふれた水を田畑に放流したという。

 また長江上流に設けられた世界最大の水力発電ダム、三峡ダム(Three Gorges Dam)の構造上の懸念も絶えない。同ダムは、地下の断層が複雑に入り組んだ場所に位置しているからだ。

■気候変動による影響は?

 気候変動により、極端な気象現象が頻発するにつれて、中国のダムにかかる負荷がさらに増す可能性が高い。

 中国水利部によると、今夏は53の河川で過去最高水位を記録したという。

■「スポンジシティー」の効果は?

 中国の急速な発展と都市化も、洪水被害の悪化を招いてきた。都市化に伴い、より多くの土地が不透水性のコンクリートで覆われ、豪雨の際に地面に水が急速にたまるリスクが高まった。

 政府が提示した解決策の一つが、2014年に始まった「海綿城市(スポンジシティー)」計画だ。

 都会の不透水性の地面を、透水性舗装材など多孔質材で置き換え、緑化を進め、排水溝や貯水池を増設することにより、地面に水がたまるのを防ぐとしている。