【8月22日 AFP】男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、新型コロナウイルスの検査でフィットネストレーナーが陽性となった選手2人がウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)への出場を禁止されたことを批判していると、米スポーツ専門チャンネルESPNが21日に報じた。

 この決定については他の男子選手も批判的な姿勢を示しており、四大大会(グランドスラム)で通算3度の優勝を誇るアンディ・マレー(Andy Murray、英国)も、こうした状況におけるガイドラインが選手たちにとって明確になっていないと訴えている。

 全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)の前哨戦として、ニューヨークのフラッシング・メドウズ(Flushing Meadows)に会場を移して行われる今年のウェスタン&サザンオープンから除外されたのは、ギド・ペラ(Guido Pella、アルゼンチン)とウーゴ・デリアン(Hugo Dellien、ボリビア)であることが判明した。

 両選手は17日に共通のトレーナーが陽性となって以降、いずれも検査で陽性反応は示していない。しかし、大会関係者は全米オープンの医療スタッフとニューヨーク市保健局(New York City Department of Health)に相談し、2人の隔離を決断した。

 ジョコビッチは報道陣とのオンライン会見で、「全米テニス協会(USTA)の医療責任者からは、数週間前にズーム(Zoom)で開かれた会議で、該当する選手が感染したコーチや理学療法士、もしくはチーム関係者と部屋を共有しておらず、自身の検査結果が陰性であれば、大会に出場できると伝えられた」と話したとESPNは報じた。

 数十人の男子選手が出席したという会議では、衛生安全上の手順とこれからの2週間における手続きに関して情報が伝えられたといい、ジョコビッチはチームメンバーが陽性者となった場合の手順に関して選手たちが何度も確認した際に、「そうした内容が伝えられた」と主張した。

「だから、ペラとデリアンがこのような扱いを受けたのを目の当たりにして、自分を含めて選手たちの多くは怒りを感じているんだ」

 USTAの広報担当者であるクリス・ウィドマイヤー(Chris Widmaier)氏は、ESPNに対して、「ペラとデリアンを除外したのは、相手と6フィート(約1.8メートル)以内の距離で15分以上過ごした場合は濃厚接触であるという、米疾病対策センター(CDC)のアドバイスに従ったもの」と説明した。

 さらに、追跡調査で当該選手がマスクを装着せずに「複数回」にわたり濃厚接触していたことが確認されたと明かし、「単純に、感染者と濃厚接触していた人は、14日間の隔離が義務付けられるということ。これは自由裁量で決められることではない」と述べた。

 一方、マレーは自身の会見でこれらの規定が選手側に明確になっていないと訴え、「中には『こうなることが分かっていたら、トレーナーや理学療法士を連れてこなかった』と話す選手たちもいる」「正しい判断でないと言うわけではないが、選手は実際のルールがどうなっているのか、あまりよく分かっていなかった」と語った。(c)AFP