【8月22日 AFP】米司法省は21日、米国の防衛情報をロシア政府に渡したとして、元米陸軍特殊部隊「グリーンベレー(Green Berets)」の男を逮捕・起訴したと発表した。

 司法省によると、ピーター・ラファエル・ジビンスキ・デビンズ(Peter Rafael Dzibinski Debbins)被告(45)は米国生まれで、米陸軍に入隊する前に母親の故郷であるロシアを何度か訪れる中、1996年にロシア側に採用された。

 デビンズ被告は大学在学中、ロシアのチェリャビンスク(Chelyabinsk)で学んでいた際に同国の工作員と会い、自分は「ロシアの息子」であり、政治的にロシア寄りだと伝えたという。

 ロシアの工作員たちからイカル・レスニコフ(Ikar Lesnikov)と呼ばれていたデビンズ被告は翌年、ロシア人女性と結婚し、米軍に入隊した。女性の父親はロシアの軍人だった。

 数年後、デビンズ被告はロシア側に米軍を除隊したいと伝えたが、残るよう迫られ、「グリーンベレー」の通称で知られる米陸軍特殊部隊に入隊するよう促された。

 2001年、デビンズ被告は特殊部隊に入隊。2年後にドイツ、後にアゼルバイジャンで、機密レベルの高い情報にアクセスする権限を持った。

 2005年に軍を辞めたが、米ミネソタ州で事業を行いながら、ロシアの工作員たちと定期的に連絡を取っていた。

 正式起訴状に書かれているデビンズ被告とロシア人工作員らとの最後の接触は2011年で、デビンズ被告はその際、首都ワシントンに引っ越すと告げたという。

 ビジネス向け交流サイト(SNS)「リンクトイン(LinkedIn)」にあるデビンズ被告のページによると、同被告は同年ワシントン地域の防衛・情報関連の複数の企業と仕事を始め、国家安全保障と情報に特化した大学院、世界政治研究所(Institute of World Politics)で学んだと記されている。

 同研究所のウェブサイトには、デビンズ被告はサイバーインテリジェンスの講師で、ハイブリッド戦争の講師として米欧州軍(US European Command)と北大西洋条約機構(NATO)でも教えていると記載されている。

 同被告のリンクトインのページによると、2月からはウィスコンシン国際大学ウクライナ(Wisconsin International University in Ukraine)の教授を務めていたという。

 デビンズ被告は有罪となれば最高で終身刑が科される。(c)AFP