【8月21日 AFP】香港当局が、中等教育の教科書から「慎重な取り扱いを要する」内容を削除するよう出版社に要求したことが分かった。現地メディアが20日、報じた。「香港国家安全維持法」(国安法)の施行に伴い、香港の「教育の自由」への締め付けが強化されている。

 対象となったのは、生徒の批判的思考力を育む科目「通識(リベラル・スタディーズ)」の教科書で、市民的不服従についての議論、抗議デモで使われた特定のスローガン、さらに複数の政党名までもが削除されたという。

 香港政府は、「過去の不正確な部分をふるいにかけるという観点」から必要な編集措置だったと説明している。

 香港の中等学校で必修科目となっている「通識」は、より公然と愛国教育を行いたい中国政府や香港の親中派政治家たちから目の敵にされていた。

 香港の教員らでつくる組合「香港教育専業人員協会(HKPTU)」は、削除を要求してきた香港教育当局は政治的な検閲という罪を犯していると批判。香港における「教育の自由」を保障するよう求めた。(c)AFP