【8月21日 AFP】20日閉幕した米民主党の党大会で最も注目を浴びた主役は、政治家でもハリウッドスターたちでもなく、吃音(きつおん)症に悩む13歳の少年だった。

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 ブレイデン・ハリントン(Brayden Harrington)君は、この日に大統領候補指名を受諾したジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(77)の助言で、大幅に症状を改善できたという。

 オンライン開催された党大会で公開された心温まる動画の中で、歯列矯正器具をつけたブレイデン君は、今年2月にニューハンプシャー州での選挙集会でバイデン氏に会ったと説明。「ジョー・バイデンがいなかったら、僕はきょう、あなた方に話しかけることはなかったでしょう」と明るい笑顔で語った。

「彼は僕に、同じクラブの仲間だね、と言ってくれました。僕たちは吃音症です。僕と同じような人が副大統領になったなんて、本当にすごいと思いました」

 労働者階級をルーツに持つバイデン氏は子どもの頃、重度の吃音症に悩まされていた。意味不明な言葉ばかり言うことを指すスラング「ダッシュ」をあだ名にされ、いじめられたという。これまでの選挙集会でも、たびたび吃音症を克服した話をしている。

 バイデン氏はブレイデン君の隣に座って、練習としてどんな詩を音読してきたか、人前で話をする際は原稿のどこに印をつければ朗読しやすいかを教えてくれたそうだ。

「僕はただの子どもだけれど、ジョー・バイデンのおかげで、僕の人生にずっと付きまとってきた悩みの種について、ほんの短い時間のうちに自信を持つことができた」とブレイデン君。「ジョー・バイデンは(僕を)気にかけてくれた。僕たち皆のために、彼は何をしてくれるでしょうか。考えてみてください」と訴えた。

 この日の党大会では、バイデン氏が指名受諾演説を行う前に、その生い立ちを紹介する映像が流された。その中では、学校から帰った息子が教師に吃音症をからかわれたと言うのを聞いた母親が、すぐさま車に息子を乗せて学校へ行き、教師に強い言葉で抗議したエピソードも披露された。

 大統領選に向けた民主党の候補者討論会でも、バイデン氏が言葉に詰まる場面は何度もあった。本人も昨年、米誌アトランティック(The Atlantic)とのインタビューで、大人になった今も吃音症の症状がまだあることを認めている。同氏の失言の幾つかは、それで説明がつくかもしれない。(c)AFP