【8月21日 AFP】ロシアの野党勢力指導者アレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)氏が何者かに毒を盛られたとみられ、意識不明の重体となっている問題で、ナワリヌイ氏をドイツの首都ベルリンの病院に搬送する救急輸送機が20日夜、同市を出発することになった。独NGOの代表がAFPに明らかにした。

 ナワリヌイ氏は現在、シベリア(Siberia)の病院で治療を受けている。輸送機を手配したNGOシネマ・フォー・ピース財団(Cinema for Peace Foundation)の創設者ヤカ・ビジル(Jaka Bizilj)氏によると、ナワリヌイ氏はベルリンのシャリテ大学病院(Charite University Hospital)に搬送される予定。

 同財団はこれまでもロシアの野党勢力を支援してきた。2018年には、ロシアのパンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」メンバーのピョートル・ベルジロフ(Pyotr Verzilov)さんが毒を盛られたとみられる事件でも、救急搬送を手配。ベルジロフさんはシャリテ大学病院での治療により容体が著しく回復し、およそ10日後に退院した。

 ロシアのドミトリー・ぺスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は、ナワリヌイ氏の「早急の回復」を願うと表明。ロシア政府は必要であればナワリヌイ氏の外国への搬送を支援するとした。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相とフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は20日に開いた共同記者会見で、ナワリヌイ氏の容体に懸念を示し、支援を申し出た。

 メルケル首相は、欧州各国首脳が事実関係について「説明を要求する」方針だと言明。「私が聞く限りでは(状況が)あまりはっきりしておらず、この毒物混入に関する状況はより明瞭にすべきだ」と述べた。(c)AFP