【8月25日 AFP】新型コロナウイルスの感染拡大が再燃する中、夏の街頭やビーチにあふれる人々を見て警戒した欧州諸国の一部では、公共の場でのマスク着用を屋内だけでなく、屋外でも義務付けるようになっている。

 最近になって欧州の複数の国の政府は、マスク着用の勧告を強化している。フランスとベルギーでは、マスク着用規則の適用範囲に屋外も含むようになった。

 しかし専門家らは、そうした対策は的外れではないかと疑問を呈している。集団感染の多くがオフィスなど、マスクに関する規則が明確でない職場の密室で起きているからだ。一方で、屋外での感染リスクが高いという証拠はほぼ存在しない。

 コンサルティング会社パブリック・ヘルス・エクスパタイズ(Public Health Expertise)のマルタン・ブラシエ(Martin Blachier)氏は「屋外では空気と混ざるので、ウイルス濃度は感染が起きるほど高くない」と指摘する。

 ブラシエ氏は屋外でのマスク着用義務化について、感染リスクがはるかに高い屋内に人々を押し込めかねない「心理的賭け」だと称した。

 同氏によるとむしろ重視すべきなのは、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を基本とした「古い」勧告に従ったままの企業だ。なぜなら以前の勧告は、新型コロナウイルスが空気中に数時間残留する可能性があるという最新研究を考慮に入れていないからだ。