【8月20日 AFP】サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン(Faisal bin Farhan)外相は19日、イスラエルが国際的に承認された対パレスチナ和平協定に署名しない限り、アラブ首長国連邦(UAE)のように国交正常化に踏み切ることはないと述べた。UAEとイスラエルが歴史的合意を交わした後、サウジアラビア政府が公式見解を示したのはこれが初めて。

 UAEは米国の仲介で先週、他の湾岸諸国に先駆けてイスラエルとの国交正常化に合意した。これを受け、他のアラブ諸国も同様の動きに出るとの見方が広がっていたが、サウジアラビアは米国からの圧力を受けながらも数日にわたり沈黙を貫いていた。

 ドイツ・ベルリンを訪問中のファイサル外相は、パレスチナ問題が未解決のままイスラエルと国交を正常化する可能性はないと強調。対イスラエル関係の正常化は、いかなるものであっても前提条件として国際合意に基づく「パレスチナとの和平が成立していなければならない」と述べた。

 その上で「それ(和平)が成立した後なら、どんなことでも可能だ」と付け加え、従来のサウジアラビア政府の立場を踏襲した。

 ただ、サウジアラビアの国政を事実上主導するムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)はこの方針からの転換を目指しており、近年イスラエルとの関係構築をひそかに進めている。(c)AFP/Deborah Cole with Anuj Chopra in Riyadh