【8月19日 AFP】中国南西部の山岳地帯で発生した洪水により、複数の道路が流失し、住民10万人以上が自宅からの避難を余儀なくされている。当局は19日、長江(Yangtze River)流域にある巨大な「三峡ダム(Three Gorges Dam)」がかつてないほどの増水ピークを迎えているとして、警戒を呼び掛けた。

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 国営中国中央テレビ(CCTV)の映像には、四川(Sichuan)省にある崖の側面に彫られた高さ71メートルの楽山大仏(Leshan Giant Buddha)の足元が濁水に漬かっている様子が捉えられていた。

 3つの河川の合流地点に位置する楽山大仏は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されており、人気の観光名所となっている。

 CCTVによると、1949年の中華人民共和国の成立以降、洪水により楽山大仏の足まで水が届いたことはなかったという。大仏を保護するため、何列にも並べられた土のうには、水が打ち寄せていた。

 国営新華社(Xinhua)通信は、鳳洲(Fengzhou)では洪水により道路が遮断され、1020人前後が取り残されて、食料と水の不足に苦しんでいると伝えている。

 洪水の被害は雅安(Ya'an)市と楽山(Leshan)市にも及んでおり、避難者は10万人を超えているという。

 四川省では19日早朝、道路の崩壊によって車両21台が巨大な穴に落下した。国営環球時報(Global Times)は、負傷者はいないと報じている。

 新華社は、長江下流に位置する大都市重慶(Chongqing)も、今週中に洪水に見舞われる恐れがあるとしている。(c)AFP