【8月20日 AFP】米カリフォルニア州で1970~80年代に凶悪犯罪を繰り返し、「黄金州の殺人鬼(Golden State Killer)」と呼ばれた元警察官ジョゼフ・ジェームズ・デアンジェロ・ジュニア(Joseph James DeAngelo Jr)被告(74)の公判で18日、被害者の男女十数人が意見陳述を行い、自らの恐ろしい体験を語った。

 デアンジェロ被告は司法取引に応じており、21日に11回の終身刑(仮釈放の可能性なし)が言い渡され裁判は終了する予定。判決言い渡し前の3日間は、被害者側に陳述の機会が与えられた。

 カリフォルニア州史上最悪の凶悪犯の一人とされるデアンジェロ被告は、1975年から86年にかけて13人を殺害した罪のほか、女性約50人に対する性的暴行や、数十件の強盗や拉致の罪を認めている。

 15歳だった1976年12月に被害に遭ったクリス・ペドレッティ(Kris Pedretti)さんは公判で、被告からむごたらしい暴行を受け、殺すと脅された当時を回想。

「翌朝目が覚めて、自分がもう子どもには戻れないことを知った。生きていることに本当に感謝したけれど、同時に自分はすでに死んだと感じた」

 パトリシア・マーフィー(Patricia Murphy)さんは29歳で2児の母親だった1976年9月、両親の自宅で被告に繰り返し暴行を受けた。事件後の人生は取り返しがつかないほど変わってしまったという。

 マーフィーさんの代わりに意見陳述書を読み上げた娘のパティ・コスパー(Patti Cosper)さんは、デアンジェロ被告を「魂のない邪悪な怪物」と呼び、被告に向かって中指を突き立て「刑務所でくたばればいい」と言い放った。

 ピート・シュルツィ(Pete Schultze)さんは11歳だった時、被告が家に押し入り、シュルツィさんをベッドの脚に縛り付けた上で、母親に繰り返し暴行を働いた。父親はその後何年にもわたり、野球バットを脇に置いて眠っていたという。シュルツィさんは被告に向かって、「あなたの苦しみは始まったばかりだ」と述べた。

 オレンジ色のつなぎ服とマスクを身に着けたデアンジェロ被告は、感情を見せず、目の前の壁を見つめたまま陳述に耳を傾けていた。

 捜査当局は、被告の親族が利用した家系図データベースと犯行現場から採取したDNAを照合し、被告を犯人と特定。2018年に逮捕に至った。(c)AFP/Jocelyne ZABLIT