【8月18日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)は、政治的メッセージとしてチームが変更した黒いレーシングスーツが、灼熱(しゃくねつ)の暑さとなったスペインGP(Spanish Grand Prix 2020)でドライバーとしての体力を奪ったと不満を訴えた。

 今季メルセデスは「人種差別の撲滅」を掲げ、マシンとレーシングスーツのカラーリングをこれまでのシルバーから変更して黒に統一した。前週末の今季第6戦スペインGPは路面温度が50度にも上り、ボッタスはレース中にチームへの無線で、「この黒いスーツは…ホットだ」と皮肉交じりに訴えていた。

 ボッタスが汗まみれになっていた一方で、チームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は終始冷静なレースを展開し、キャリア88勝目を記録した。

 自身初の世界タイトル獲得を目指しているボッタスは、スタートに出遅れながらもすさまじい追い上げを見せたが、通算6度の年間優勝を誇るハミルトンと、2位に入ったレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)に追い付くことはできなかった。

 レースでは3位に入ったボッタスだったが、その奮闘に加えて気温と黒のレーシングスーツで体力が失われたと訴え、「確かなことは、僕らがレーシングスーツの色を変えたこと、そして特に直射日光下では、黒がより熱を吸収するのは知られているということだ」「実際の数字や要因、あるいは黒と白と比べたときの温度の違いが、どれくらいになるのかは分からないけれど、今年はマシンの中が本当に暑い」と口を開いた。

 さらに、新しい規定でドライバーが着用するアンダーウエアの厚みが増したことにも不満をあらわにし、「それに、今年はレーシングスーツに関する新たな規定が承認されて、スーツとアンダーウエアが厚くなっている。それがどれほど影響を及ぼしているのか分からないけれど、とにかく暑かった」と語った。

「レースでは体重が3キロ減ったよ。それはかなりの量だ」「だから、すでにパフォーマンスに影響が出始めている。そのことは、ドライバー全員の様子から分かっている。自分は最も元気な一人だから適応できているけれど、決して快適ではないし、常に改良の余地はある」

「マシンの中は本当に暑いし、今年は最初からずっと暑さが増していると感じている」 (c)AFP